【ロープウェイで秋絶景】コラム ロープウェイの魅力と秋に乗りたい路線(鉄道評論家・歯科医師/中島 信)
竜王マウンテンリゾート ロープウェイ(長野)の標高1770メートルの山頂で記念撮影する中島さん
中島 信(なかじま・まこと)
1956年、東京都杉並区生まれ。江戸川区で歯科医院を経営する傍ら、日本中の鉄道(JR、私鉄、地下鉄、路面電車など)全線制覇、普通索道の全線乗車を達成し、鉄道分野の造詣が深い。鉄道評論家として関連書籍の出版、テレビ・ラジオ出演など幅広く活動している。著書に『絶景!日本全国ロープウェイ・ゴンドラコンプリートガイド』(扶桑社、2017年刊)等。
全国の鉄道を全線制覇し、ロープウェイ、ゴンドラリフトをも乗り尽くした達人が、秋に乗りたいロープウェイを解説する。
私が育った東京都杉並区の家の近くに京王井の頭線の車庫(永福町検車区。1966年廃止)があり、幼い頃から慣れ親しんでいたから鉄道が好きになったのだと思います。学生時代には全国の鉄道全線制覇まであと一息と迫りましたが、多忙になって“乗り鉄”を休んでいました。
その後、医院の休診日などに乗り残した路線や新しい路線を乗りつぶして2004年に日本中のすべての鉄道(JR、私鉄、地下鉄、路面電車など)を制覇しました。ところが、友人からロープウェイやゴンドラリフトが抜けていると指摘されたのです。
日本の鉄道事業法では鉄道事業と索道事業を分けており、2本のレールを持つ鉄道の種類として普通鉄道、モノレール、ケーブルカー、新交通システムなど8項目を挙げています。一方、ロープを用いる索道は普通索道(ロープウェイやゴンドラリフトなど)と特殊索道(外部に開放された座席のリフトなど)に分類されます。日本の鉄道全線制覇を達成した人は珍しくありませんが、ロープウェイやゴンドラリフトを制覇した人はいないのではないかと、コンプリート癖に火がついて乗り始め、09年に当時全国に168か所あった普通索道を制覇しました。
特殊索道の多くはスキーシーズンのみの運行だったりするので、とても手が回りませんでした。夏はゴンドラに架け替えて運行しているところなどは乗りつぶしましたが。
ロープウェイに乗るときは傾斜や支柱の数も調査して、手書きの路線図に記載します。全国の鉄道で購入したきっぷや、各駅のホーム番号や路線の信号の種類等を丹念にメモしてきたもので、路線図を作成する時間が、また格別なんです。このファイルは今でも宝物ですね。
普通索道は新しくできたものもありますが、廃止されたものも多く、今は全国で150か所前後だろうと思います。

乗車した索道の路線図や情報が書き込まれている中島さんのファイル
秋といえば紅葉、山麓〜山頂で異なる景観
ロープウェイは、ゴンドラ(キャビン)が往復する「交走式」とぐるぐる回る「循環式」があり、それぞれ単線や複線、複式単線などに分かれます。交走式は一度に大人数を運べて駅間(支柱の距離)が長くても設置できます。ただ待ち時間が長かったり車内が混雑したりします。一方、循環式は待ち時間は少ないのですが、1台あたりの定員が少なく、多くの支柱を立てる必要があります。
フニテル(複式単線)という索道は2本のワイヤーを掴(つか)むようにゴンドラが架かる形式で、ちょうど平行棒に両腕でぶら下がるようなものなので、風に対する安定性が高いのが特徴です。
ロープウェイの魅力は、四季の移り変わりが劇的なことです。秋ですと紅葉がいちばんの絶景ポイントですが、標高差が1000メートルぐらいあると、山頂は紅葉が終わって初冬の気候なのに途中は紅葉真っ盛りで、山麓はまだ紅葉が始まらない、といった路線があります。
例えば、中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイは起点のしらび平駅と千畳敷駅の高低差が950メートルあり、千畳敷駅の標高2612メートルとあわせて共に国内最高です。季節の変化を如実に感じることができます。

千畳敷カールの近くから眺める中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイの千畳敷駅。国内最高所にある駅で、ホテル千畳敷を併設(写真/ピクスタ)
苗場ドラゴンドラは路線の長さが5481メートルと日本最長で、上るだけでなく、尾根を越えたら谷底まで下りて行くといった変化に富んでいます。山頂、中腹、山麓と紅葉の時期も違います。
紅葉の美しさで言ったら、「東の八甲田、西の宮島」だと思います。八甲田山はブナやナラ、カエデ、ダケカンバなどが赤や黄色に色付き、ロープウェイの車窓からはもちろん、山頂公園駅を起点に自然遊歩道が巡らされ、眺望ウッドデッキからは八甲田の紅葉を一望できます。
宮島ロープウエーは、乗り場に向かう途中にある紅葉谷(もみじだに)公園で約700本のカエデが赤やオレンジ色に染まります。ロープウェイからは弥山(みせん)原始林の緑とのコントラストが楽しめます。
秋のおすすめを10か所挙げましたが(下表)、ほかにも山形の蔵王ロープウェイ、天元台ロープウェイ、兵庫の書写山ロープウェイ、香川の小豆島(しょうどしま)の寒霞渓(かんかけい)ロープウェイ、大分の別府ロープウェイなども美しい紅葉が見られます。秋のロープウェイの魅力は紅葉にあると言っても過言ではないので、山頂や山麓の見頃を選んで乗ってみてください。

大雪山にある黒岳ロープウェイ。近くの旭岳と共に紅葉は日本で最も早い9月から(写真/ピクスタ)

話/中島 信 聞き手/田辺英彦
※記載内容は掲載時のデータです
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(出典:旅行読売2026年11月号)
(Web掲載:2026年10月20日)


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