静まり返った、無人駅の夜。
しんしんと降る雪の音までも
聞こえてきそうだ。
そこにあるのは、
板張りの簡素なホームのみ。
スマホはポケットに入れたまま
コートの襟を立てて、夜空を見上げた。
こんな時間を贅沢だと思えるようになったとき、
人は、旅人になるのかもしれない。

文・写真／中井精也

1967年、東京生まれ。鉄道写真家。独自の視点で鉄道を撮影し、『ゆる鉄』など新しい鉄道写真のジャンルを生み出した。甘党。著書・写真集に「1日1鉄！」（インプレス）など。2015年講談社出版文化賞・写真賞受賞。

（出典：「旅行読売」2023年1月号）
（Web掲載：2024年1月9日）

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