寺内駅【真岡鐵道真岡線】
朝日がまぶしい北関東の小駅はSLも良く似合う
冬の早朝、真岡(もおか)鐵道の寺内駅を訪ねた。
茨城県の下館(しもだて)駅と栃木県の茂木(もぎ)駅を結ぶ全長41・9㌔のローカル線は、筑波山を望む田園地帯をゆっくり走り抜け、関東平野を囲む山裾へと進む。
寺内駅は田園地帯と市街地の境にあり、国鉄時代から使われる木造駅舎が残る。未舗装のホームは砂利が敷かれ、柵には枕木が使われた古い造りだ。週末を中心に運行されるSLもおか号が姿を見せると、さらにレトロ感が増す。
駅前から駅舎を見ると南東を向くため、晩秋から初冬にかけて、改札口の向こうに朝日が顔をのぞかせる。日が昇り始めた頃、1人の乗客が改札口を抜けた。駅前に一瞬伸びた長い影がやがて上り列車に吸い込まれると、辺りは再び朝の静寂に包まれた。
文・写真/越信行
真岡鐵道真岡線は1920年に官設鉄道真岡軽便線として全線開業。寺内駅は1912年開業。寺内駅へは下館駅から20分
(出典「旅行読売」2017年11月号)
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