滝宮駅【高松琴平電気鉄道琴平線】
急傾斜の瓦屋根に守られた大正モダンの木造駅舎
高松琴平電気鉄道(通称・ことでん)のターミナル、瓦町駅から琴平線に乗った。琴平線はことでん3路線の一つで、金刀比羅宮(ことひらぐう)参詣者の輸送を目的に1926年に一部開業した。
町なかを抜けた列車は駅舎がひときわ目を引く滝宮駅に着いた。近くには、かつてこの地に赴任した菅原道真(みちざね)を祀る滝宮天満宮があり、多くの参拝者を集める。
駅舎は開業当時のもので、現在は板張りだが元々は柱と柱の間を漆喰(しっくい)で塗ったハーフティンバー様式の洋風木造建築。ことでん初代社長が関西の私鉄へ視察に出向き、そのデザインを参考に造らせたという。今は近代化産業遺産にも認定されている。瓦屋根が印象的で水色やピンク色をあしらった外観は、大正モダンと呼ばれる当時の流行。赤い丸ポストもレトロで、初代社長の洒落っ気が今に伝わり、旅情をかきたてられた。
文・写真/越信行
高松琴平電鉄琴平線は1948年全線開業。滝宮駅は1926年開業。滝宮駅へは瓦町駅から37分
(出典「旅行読売」2017年7月号)
(ウェブ掲載 2020年6月5日)
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