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【低山と温泉へ】月山ももさんが語る「私の好きな低山といで湯・・・そして酒」

【低山と温泉へ】月山ももさんが語る「私の好きな低山といで湯・・・そして酒」

葛城山山頂へ続く伊豆パノラマパークのロープウェイと富士山(写真/ピクスタ)


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つきやま・もも

山と温泉を愛する女一人旅ブロガー。「歩いてしか行けない温泉宿」に憧れを抱き、2011年から登山を始める。ブログ「山と温泉のきろく」に、温泉宿への宿泊記、旅の食事や登山の記録をつづっている。著書に『ひとり酒、ひとり温泉、ひとり山』(KADOKAWA)。

🌳気軽さが魅力の低山ハイク

前置きしておく。実を言うと私は、春から夏にかけての季節に、低山に登った経験が少ないほうだと思う。というのも、5月中旬くらいになると、標高1000メートル以下の低山に登るのはけっこう暑い。登山口の標高がすでに1000メートル以上あって、そこまでバスやロープウェイなどで行ける山もあるから、春から夏にかけてはそういう標高が高めの山に登り、低山には冬に登ることが多いのだ。

低山ハイクの良いところは、何と言っても「気軽さ」だろう。高山の場合は登山口も奥まった場所にあって、バスで山道を1時間以上行った先から登り始めることも多い。しかし低山の場合は、最寄り駅から登山口まで歩いて行ける山もたくさんあり、旅の途中の2~3時間で無理なく登山を楽しむこともできるのだ。

私はひとりで温泉宿に泊まるのが好きなので、温泉宿に泊まる前後に日帰りで登山を楽しむことも多い。高い山に登るときは早朝出発が基本なので、チェックアウト後に登山する場合、朝はどうしても慌ただしくなってしまう。しかし2~3時間で登れる低山なら、宿でゆっくり朝食を食べてから登っても十分間に合うのだ。

温泉旅と低山ハイクの相性が良すぎて、温泉旅を計画するときはいつも「近くに気軽に登れそうな低山はないか」と探している。

🌳私の好きな低山&温泉

温泉と組み合わせて楽しみやすい、お気に入りの低山をいくつか紹介すると、神奈川県の湯河原温泉からほど近い場所にある標高626メートルの幕山(まくやま)は、梅林で有名な幕山公園が登山口となる。梅の季節が有名だが、初夏には紫陽花(あじさい)やシャクナゲの花も咲き、相模湾の絶景も楽しむことができる。

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梅の時期の幕山(写真/ピクスタ)

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幕山山頂からの相模湾の眺望(写真/ピクスタ)

山梨県にある標高716メートルの大蔵経寺山(だいぞうきょうじやま)は、石和(いさわ)温泉駅から徒歩でアクセス可能な山だ。葛飾北斎の「富嶽三十六景」の一つ「甲州伊沢暁」という浮世絵は、大蔵経寺山から眺めた朝焼けに染まる富士山を描いたとされている。富士山の眺めを楽しんだ後は温泉につかり、駅併設の観光案内所内にある「駅なかワインサーバー」で甲州ワインの飲み比べも楽しい。

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浮世絵「甲州伊沢暁」に描かれた大蔵経寺山からの眺め(写真/ピクスタ)

静岡県中伊豆の城山(じょうやま)と葛城山(かつらぎやま)をつなぐコースは、どちらの山から登っても温泉地に下山できるのが素晴らしい。城山の麓には大仁(おおひと)温泉があり、葛城山から「伊豆パノラマパークロープウェイ」に乗れば伊豆長岡温泉はすぐそこ。葛城山山頂からの富士山の眺めは最高だ。大仁温泉から城山に至るルートは、若き日の長嶋茂雄さんがトレーニングのために好んで登った道だそうで、見どころが多い。

登山のレベルは少し高くなるが、静岡県の沼津駅からアクセス可能な「沼津アルプス」という低山群もおすすめだ。駿河湾と富士山を眺めつつ歩けるし、低山ながらちょっとした岩場もあって起伏に富んでいる。下山後は沼津港で魚介を楽しんだり、沼津港や沼津駅前にあるブリューパブでクラフトビールを楽しんだりできるのもうれしい。また伊豆長岡温泉にほど近く、バスでもアクセス可能だ。

関西圏なら兵庫県の有馬温泉から徒歩でもアクセス可能な六甲山がいい。山頂付近からは神戸港や神戸の街並みの大パノラマを眺められる。有馬温泉街にもクラフトビールが飲める店がいくつかあり、下山後は有馬の濃厚な湯につかり、ビールを味わう至福の時間が楽しめる。

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低山ハイクの締めは、やっぱりビールでしょ!(写真/宮川 透)

🌳低山ハイクのアドバイス

気軽に登れるのが低山の良いところではあるが、山であることに変わりはない。登山地図を用意しておくか、登山地図アプリをインストールしておくこと。登山計画書を提出し、家族など身近な人に「これから○○山に登る」旨を連絡しておくことだけは最低限やっておいたほうが良いだろう。山中では写真を撮ったり地図を見たりと、思った以上にスマートフォンのバッテリー消費が激しいので、モバイルバッテリーを持って行くことを強くおすすめする。

文/月山もも


(出典:「旅行読売」2025年月6月号)
(Web掲載:2025年7月13日)


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