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【低山と温泉へ】万葉集にも詠まれた名山 二上山<標高/雄岳517m、雌岳474m・歩行距離7.6km・歩行時間3時間15分>

場所
> 葛城市、南河内郡太子町
【低山と温泉へ】万葉集にも詠まれた名山 二上山<標高/雄岳517m、雌岳474m・歩行距離7.6km・歩行時間3時間15分>

遠く大峰山系や奈良盆地を望む雌岳の山頂(写真/ピクスタ)


雄岳と雌岳、二つの山頂で眺望を楽しむ

奈良と大阪にまたがり、雄岳(おだけ)と雌岳(めだけ)が寄り添うような山容が美しい二上山(にじょうさん)。かつては「ふたかみやま」と呼ばれ、万葉の頃から親しまれてきた。山の地形や自然が感じられる雄岳。舗装された山道が続き、季節の花を楽しめる雌岳。二つの頂上を目指し、達成感を味わいたい。下山後に日本最古の官道・竹内(たけのち)街道を歩き、温泉にたどり着けば最高のご褒美になるだろうと、登山計画を立てた。

近鉄南大阪線二上神社口駅で下車。のどかな田園と家並みの向こうに雄岳が大きく迫ってくる。標識に従い、神社の左脇から登山道へ。フェンスの扉を開けて山中に入った。

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奈良側から見た二上山。向かって右が雄岳、左が雌岳

丸太の階段の所々にリボンのマーキングがあり、整備されていることが分かる。きつい登りが続き、体が重い。反対側から下りてくる登山者に「もう少しですよ」と励まされるが、その先が長く感じられた。登山道は、二上山駅方面からのルートと合流。大津皇子(おおつのみこ)の墓では、息を整えるように手を合わせた。

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木漏れ日と風が心地よい雄岳の登山道

広場のような雄岳山頂に到着し、木の間から大阪平野を眺めて深呼吸。ここで昼食に持参した柿の葉寿司をぱくり。甘酢パワーか、元気が出て「馬の背」と呼ばれる下り坂をテンポよく下りた。雌岳へ向かう前に、一旦トイレ休憩をしておくといい。

雌岳頂上までは距離が短く、あっという間に眺望が開けた。空が近く、日時計のある頂上には先客がちらほら。大和平野、大阪平野のパノラマが広がり、見晴らし抜群だ。山頂から20分ほど下った展望台も絶景ポイントで、明石海峡大橋まで望めた。

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日時計のある雌岳山頂広場。桜の名所としても知られる(写真/大阪観光局)

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「野鳥スポット」に顔を出すリス

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6月が見頃のヤマユリ。雌岳には万葉集でうたわれたアセビや萩、アジサイ、椿などが咲く

道すがら、健康のためにほぼ毎日雌岳を歩いているという女性と言葉を交わした。春は桜、新緑の季節は森林浴、秋は万葉広場のモミジ、冬の雪景色と季節によって楽しみがあり、お気に入りのコースがいくつもあるらしい。話しているうちに、次回は雌岳から雄岳を目指す道を歩いてみたいと思った。

緩急のある坂道を下り、万葉の森登山口に到着。ここから太子温泉までは2.5キロある。万葉の森レストハウスで休憩してから、竹内街道(国道166号)を歩く。道の駅「近(ちか)つ飛鳥の里・太子」でも休憩を挟み、のんびり太子温泉へ。入浴は瞑想(めいそう)の心地で、ぬる湯が疲れた体をほぐしてくれる。入浴後は六枚橋東バス停から近鉄上ノ太子駅に向かった。もう少し痩せて、次回は軽やかに山に挑みたいものだ。

文/仲底まゆみ

♨立ち寄り温泉

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太子温泉 ◉太子温泉

聖徳太子ゆかりの地に湧く天然温泉。緑豊かな山を望むヒノキ造りの露天風呂や岩風呂の大浴場があり、湯上がりには館内の「うたた寝の間」でゆっくりできる。「峠の釜飯食堂 鶏と卵」では、和歌山のうめどりや近江鴨を使用した釜飯を提供。
■10時~20時30分/火・水曜休(GWは変更あり)/1000円/大阪府太子町山田1131/近鉄上ノ太子駅からタクシー7分/TEL:0721-98-4126


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【登山データ】
■交通 [鉄道]近鉄南大阪線二上神社口駅から徒歩10分[車]南阪奈道路太子ICから国道166号経由3キロで万葉の森登山口(P無料あり)
■問い合わせ/TEL:0745-44-5111(葛城市商工観光プロモーション課)、TEL:0721-98-5521(太子町観光産業課)

アドバイス

初心者は車でアクセスし、万葉の森登山口から雌岳山頂まで往復するのがおすすめ。中級者以上は、雌岳山頂から馬の背~鹿谷寺跡~ろくわたりの道を経由して太子温泉に向かうルート、雄岳山頂から二上山駅経由で屯鶴峯(どんづるぼう)温泉へ向かうルートもある。

※記載内容は掲載時のデータです。

(出典:旅行読売2025年6月号)
(Web掲載:2025年7月23日


Writer

仲底まゆみ さん

大阪生まれ。古いものと新しいものが混在するまちや、路地裏を歩くのが好き。「こころで聴き、足で書く」をモットーに取材を通して、地域の魅力を引き出すことが目標。共著 『建築技師という生き方 東畑謙三との対話』(創元社)

 

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