牟岐駅【牟岐線】
ヤシの葉が揺れる駅前は、南国ムードに包まれて
四国南岸の美しい海を目指し、牟岐(むぎ)線沿線を旅した。阿波室戸シーサイドラインの愛称を持つ牟岐線だが、海が見える区間はごくわずかだ。途中、田井ノ浜を左の車窓に見た列車が山を下り再び海へ近づくと、牟岐駅に着く。
オレンジ色を基調とした木造の駅舎は、牟岐線の当時の終着駅として1942年に開業した時のものだ。駅舎を出ると、ツツジに彩られた植え込みにカナリーヤシが大きな葉を茂らせ、南国ムードを漂わせていた。
駅から1㌔ほどの砂見の浜はアオウミガメが産卵に訪れるという白砂の海岸。そこから続く県道、通称「南阿波サンライン」を行くと、外ノ牟井(とのむい)の浜から始まる千羽海崖(せんばかいがい)の美しい海岸線が延びる。透き通る海や雲ひとつない空の青さが、今も脳裏に強く焼きついている。
文・写真/越信行
牟岐線1973年全線開業、牟岐駅は1942年開業。牟岐駅へは徳島駅から普通で1時間50分
(出典「旅行読売」2018年5月号)
(ウェブ掲載 2020年7月11日)
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