志文駅【室蘭線】
幾多の人々が歩いた跨線橋の上に月が輝く
50年ほど前の最盛期には約4000㌔もあった北海道の鉄道路線だが、現在は約2500㌔に減った。消えた路線のいくつかは炭坑からの石炭輸送を目的として敷かれたもので、旧国鉄万字(まんじ)線もその一つだ。
岩見沢市の郊外、万字線が分岐していた志文(しぶん)駅を訪ねた。万字線が走っていた時から使われている古い跨線橋と、かつての線路上に建てられた木造駅舎が、月が輝く空の下に浮かび上がっていた。
旧万字線の沿線には、万字線鉄道公園として整備された旧朝日駅のほか、駅の跡地に碑が立っている。旧美流渡(みると)駅の近くには万字線鉄道資料館があり、往時の様子が分かる(見学は要事前連絡、☎0126・23・4111岩見沢市企画室)。
時空を超えて、栄華を極めた北海道の鉄道の一端を垣間見たように思えた。
文・写真/越信行
室蘭線は1928年全線開業。志文駅は02年、北海道北海道炭礦(たんこう)鉄道の貨物駅として開業。志文駅へは岩見沢駅から普通で7分
(出典 「旅行読売」2018年12月号)
(ウェブ掲載 2020年9月2日)
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