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【添乗員日記】南極の生態系を壊さないためのルール

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【添乗員日記】南極の生態系を壊さないためのルール

南極では、乗下船時には必ず靴裏を消毒する


1日の観光が終わり、ゾディアックボートで本船に帰っている途中、海に苔のような、花のような、見たことのない植物を発見しました。

添乗員はボート乗船中、通訳をしないといけないので、私は内心ヒヤヒヤしていました。見たことも聞いたこともない話をされたらどうしよう、日本語でも苔や植物の話は難しいのにうまく訳せるかな…。毎回毎回、心臓が止まりそうなほどドキドキします。その間お客様と、外国人スタッフは、新しい花かな、と大盛り上がり。

近寄って拾い上げると見たこともない植物でした。すごい! とみんなが写真を撮っているのでよーく見てみると、なんと切り取った玉ねぎの頭部分でした。これには全員で大笑いしました。船内に玉ねぎを持ち帰り、新しい花を見つけた! と、自分たちが騙されたのと同じように、他の人を驚かせて盛り上がりました。

忘れられないエピソードにはなりましたが、手放しに観光を楽しんでいるわけにはいかないな、と改めて思いました。

南極上陸に際し、微生物を持ち込まないように、船内で服などを掃除機できれいにします。長靴は乗下船時、必ず消毒します。ですが私たち人間が観光することによって、故意ではなくても多少のごみが出ます。それが南極の野生動物にいい訳ありません。ペンギンが浮いている玉ねぎを食べてしまうかもしれません。飛んでしまった帽子をアザラシが食べるかもしれません。

こうしている間にも南極の氷は解け続け、生態系が崩れていっています。一人一人にできることは少しかもしれませんが、みんなでやれば大きな力となります。南極に行き、野生動物の暮らす場所に私たちがお邪魔をして初めて、大事なことに気づかされました。改めて、地球に生かされていることを肌で感じることのできる唯一の場所だと思いました。


読売旅行/野村 彩乃



Writer

たびよみ編集部 さん

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