ツアーならではの魅力満載! いすみ鉄道と小湊鐵道 鉄印帳の旅(1)
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2020年に始まって以来人気の「鉄印帳の旅」。全国の第三セクター鉄道会社40社の鉄印を集めるには、自由に動ける個人旅行の方がスケジュールを立てやすい……そんな風に思っている方も多いのでは?
読売旅行はシーズンごとに「鉄印帳の旅」を組み込んだ鉄印帳ツアーを企画、実施している。ツアーだからこそ入れる場所や体験できることがあり、効率よく見所を回れるのも特長だ。今回、鉄道カメラマンの伊藤岳志氏に、事前にコースをたどって、その魅力を体感してもらった。
本記事で紹介している鉄印帳ツアーの詳細はこちらから
外房の港町、大原から房総半島横断
旅のスタートは東京駅で、ここから7時15分発の外房線特急「わかしお」1号に乗車する。房総方面へ向かう列車は、丸の内中央口の地下にある総武地下ホームから発車するので、普段地上の東京駅しか利用しない人には新鮮だろう。
約1時間15分の乗車で8時33分に大原駅に到着。大原はいすみ市の中心の港町で、大原漁港における伊勢エビの水揚げ量は日本一だという。観光客を出迎える駅の看板にも、そんな港町の風情が色濃く感じられる。房総半島の近さを実感。ここからいすみ鉄道に乗り換えると、鉄道ファンにも人気のある房総半島横断ローカル鉄道の旅が始まる。
いすみ鉄道の乗り場はJR改札口を出て右手にあり、駅舎内はショップスペースになっている。いすみ鉄道オリジナルグッズをはじめとする房総土産が所狭しと並び、次の列車まで約30分あるので、ここでは買い物を楽しみたい。
いすみ鉄道の旅と途中駅のおもてなし
いすみ鉄道の乗車列車は8時58分発の大多喜(おおたき)行き。今日は懐かしい国鉄標準色の気動車、キハ20-1303が充当されていた。一見古そうなこの車両、実は2015年に製造された新型車で、あえてクラシカルな国鉄気動車を模した外装と内装を施した人気車両だ。また、今回のツアーのダイヤでは遭遇できないが、いすみ鉄道では、正真正銘の国鉄時代の気動車を使用した急行列車が土・日曜と祝日に運行されている。
大原駅を出発すると、列車は左に大きくカーブして西に進路をとる。のどかな田園地帯を抜け、小さな峠を越えるとやがて国吉駅に到着。ここはいすみ鉄道では数少ない行き違いができる駅で、対向列車待ちで5分間停車する。すると列車にユニークな仮装の立売りが乗り込み、名物の「いすみのたこめし」や「たこ串」の車内販売を開始。この人たちは、いすみ鉄道応援団というボランティア団体のメンバーで、国吉駅での物品販売やガイドをはじめ、沿線の菜の花畑の整備などを積極的に行っている(国吉駅の立売りは主に土休日に実施)。また国吉駅の構内には、運転体験もできる国鉄キハ30形や、引退したいすみ鉄道創業時の車両も留置してあるので、停車中に観察してみたい。
大多喜駅で鉄印をゲット
国吉駅から再び田園地帯を走り抜け、9時31分に大多喜駅に到着。ここで今ツアーの目玉の一つである鉄印と鉄印帳をいただく。いすみ鉄道の鉄印は4種あり、ツアーで用意されるのはキハ28形をデザインした①のタイプだ(写真参照)。他にもいすみ鉄道社長直筆メッセージ入りやキハ52形デザイン、そして最近は5種目のいすみ350形デザインも登場しているので追加で買ってもいい。
大多喜駅では30分ほど時間があるので、駅構内にある運転所で待機する急行列車用のキハ52形や、レトロなたたずまいのホーム待合所などを見学してみよう。また駅前には観光案内所もあるので、大多喜の見どころの情報収集を楽しむのも良いだろう。
10時04分発の列車で大多喜駅をあとにすると、まもなく小さな鉄橋を渡る。ここでは進行右側の車窓に注目したい。小高い山の頂上に、戦国時代の豪将本多忠勝が城主をつとめた大多喜城が見える。見える時間が少々短いので、目を凝らして見よう。
車窓は、大原~大多喜間とは打って変わって山里の雰囲気が濃くなる。このあたりは竹林が多く、春にはおいしいタケノコ料理を味わうことができる。並走する夷隅(いすみ)川を何度か渡ると、10時25分に終点上総中野(かずさなかの)駅に到着する。