雪景色と白濁湯に癒やされて
貸切露天風呂「うりが」。どの湯船も源泉かけ流し
水墨画のような情景で湯浴み
「3日入ると3年は風邪を引かない」と言われる長野・白骨温泉は、北アルプスの霊峰・乗鞍岳の山腹に湧く。標高1400メートル。雪見風呂となる冬にこそ訪れ、寒さと闘う体を芯まで温めたい温泉だ。
湯川と湯沢の合流地点に立つ湯川荘には、つり橋を渡って向かう。白骨温泉には10軒ほどの温泉宿が点在するが、「渓谷を望む客室があるのは当荘のみ。冬は水墨画のような風景をお楽しみください」と荘主の齋藤元紀さん。客室は、広縁に掘りごたつを備えた10畳和室など4タイプ。コロナ禍の現在、宿泊は7組限定で、のんびり湯三昧の環境が整っている。
空いていれば貸し切り自由
男女別内湯のほかに貸切風呂を四つ設けたのは、「温泉は長い時間をかけて湧き出たもの。効能豊かな温泉に感謝しつつ、心静かに入ってほしい」との思いから。貸切風呂は空いていればいつでも無料で利用できる。貸切露天風呂「山ぶんどう」は冬季閉鎖となるので、雪見風呂なら「ほお」がおすすめ。「うりが」は屋根付きでプライベート感の高い造りだ。
濃い温泉成分が堆積
貸切内湯と男性用の内湯では、木製の湯船に注目したい。使い始めて53年分の温泉成分が堆積し、石造りの湯船に見える。白船温泉とも呼ばれた理由はここにある。泉質は含硫黄―カルシウム・マグネシウム・ナトリウム―炭酸水素塩泉。乳白色で弱酸性の湯につかれば肌はしっとり、血流が良くなって体はポカポカに。
体に優しい温泉料理
飲泉すると胃腸にいい温泉は料理にも生かされる。夕食のメインは温泉と牛乳、信州みそを合わせて作る温泉鍋。豚肉や季節の野菜をまろやかなだし汁でいただく。締めの雑炊はチーズリゾットのような味わいだ。翌日の朝食では温泉粥が登場。食事も含めた湯三昧で、心身を健やかにして新しい季節を待ちたい。
文/内山沙希子
<問い合わせ>
つり橋の宿 山水観 湯川荘
TEL:0263-93-2226
(出典「旅行読売」2022年2月号)
(ウェブ掲載:2022年2月28日)