山梨県立リニア見学センター
時速500キロ超、超電導リニアを体感
トンネルの奥から走行音が近付いてくる。白い車体が飛び出すと、次の瞬間には目の前を通り過ぎ、みるみる視界の彼方へ消え去った。息をひそめて見守った小学生から「わあー!」と歓声が上がり、「あっという間だね」という感嘆に変わった。
超電導リニアの走行試験を間近で見られるのが最大の魅力だが、ほかにも見どころは多い。入館すると、2011年まで走行していた試験車両「MLX01-2」が目に飛び込んでくる。03年には当時の鉄道の世界最高速度となる時速581キロを記録した。展示コーナーには、1962年から始まったリニアの歴史をまとめた年表や超電導磁石、車両模型などが並ぶ。
「リニアに関する知識を普及・啓発し、高速鉄道の発展に寄与することが施設の設立目的です」と岡部大輔・副センター長。その言葉通り、超電導リニアの仕組みを伝えるコーナーが盛りだくさんだ。磁力で浮きながら走るミニリニアに乗車したり、リニアシアターでは映像と座席の振動で時速500キロの世界を体感したりと、楽しみながら学ぶことができる。すると、「間もなくリニアが通過いたします」のアナウンスが。館内のテラスやラウンジで待ち構え、迫力満点の走りを味わう。水戸市から訪れた上野陽次さんは「想像以上のスピードだったけど、スマホで撮ることができてよかった」と満足そうだった。
山梨リニア実験線での走行試験が始まった1997年に開館し、2014年に体験学習機能を充実させてどきどきリニア館をリニューアル。以前は年間30万人前後の見学者を集めていたが、新型コロナウイルスの影響で臨時休館や入場制限を強いられた。リニア中央新幹線の品川―名古屋間は、静岡工区の遅れにより、予定していた27年の開業は難しい情勢となっている。地道な啓発活動で一般の理解を深めつつ、盛況を取り戻そうとしている。
(出典:「旅行読売」2022年9月号)
(WEB公開:2022年9月7日)
山梨県立リニア見学センター TEL:0554-45-8121
開館時間:9時~16時30分(最終入館) 休館日:月曜(祝日の場合は翌火曜休、火曜が祝日の場合は開館)、祝日の翌日(金・土・日曜の場合は開館) 料金:一般・大学生420円、高校生310円、小中学生200円 交通:中央線大月駅からバス
15分/富士急行線田野倉駅下車徒歩25分/中央道大月ICから6.5キロ 住所:都留市小形山2381
予約方法 個人は必要なし。20人以上または貸し切りバス利用の団体はFAX(0554-45-8122)で申し込む。走行試験は行われない日があるので、日程はセンターHP(https://www.linear-museum.pref.yamanashi.jp/)で確認する