秋の夜に浮かび上がる兼六園、金沢城
四季折々の風情が楽しめる加賀百万石の城下町、金沢。とりわけ木々が紅葉に彩られる秋は見どころが多い。
偕楽園(茨城県水戸市)、後楽園(岡山県岡山市)と並ぶ日本三名園の一つである兼六園は、江戸時代前半に加賀藩主によって造られた池泉回遊式庭園。その後も歴代藩主が手を加えていった。
宏大、幽邃、人力、蒼古、水泉、眺望の六勝(六つの景観)を備えていることから、1822年に兼六園と名付けられた。園内には紅葉スポットが多数あり、11月になると、冬に向けて樹木を円錐形に吊る雪吊りが施される。
兼六園に隣接する金沢城は加賀藩主が居城とした城で、現在は金沢城公園として整備されている。石川門、三十間長屋、鶴丸倉庫は国の重要文化財に指定されている。2015年に玉泉院丸庭園、2020年に鼠多門と鼠多門橋が復元された。
兼六園と金沢城公園で紅葉とともに楽しみたいのがライトアップだ。「金沢城・兼六園四季物語~秋の段~」として実施され、兼六園では10月14日~16日と11月3日~26日の18時30分から20時45分にライトアップされる(金沢城公園のライトアップは毎日日没から21時まで)。
闇夜に浮かび上がる紅葉した木々や雪吊り、白壁の門や櫓は日中とは一変した趣。六勝を兼ね備えた兼六園だが、その一部が強調されることで印象が増す。ライトアップ時の兼六園は無料で入園できるので、お得でもある。暖かい服装で出掛けよう。
紅葉スポットは兼六園、金沢城公園以外にも市内各所にある。江戸時代の中級武士だった寺島蔵人の屋敷(寺島蔵人邸)のドウダンツツジ、辻家庭園のイロハモミジ、市街地を一望する卯辰山など、色合いも豊かだ。
2020年に鼠多門と鼠多門橋ができたことで、長町武家屋敷から金沢城公園を経由し兼六園へ達する「百万石回遊ルート」を巡れる。お気に入りのさんぽコースを探してみよう。
金沢の秋の魅力は景観だけではない。11月6日に解禁されるズワイガニは秋から冬を代表する旬の味覚だ。
石川県内では加能ガニと呼ばれ、加能ガニの中でも重さ1.5kg以上、甲羅幅14.5cm以上で条件を満たした良質のカニは「輝(かがやき)」と名付けられる。九谷焼のタグが付き、別格の存在感を放つ。
加能ガニや卵を抱えた雌の香箱ガニは市内中心部にある近江町市場に並ぶ。同じ頃、旬を迎える加賀野菜とともに味わいたい。
金沢城・兼六園四季物語~秋の段~
兼六園ライトアップ
10月14日~16日、11月3日~26日
18時30分~20時45分(閉園は21時)
入園口:蓮池門口、真弓坂口、小立野口(ライトアップ時は入園無料)
金沢城公園・玉泉院丸庭園ライトアップ
毎日日没から21時まで
入園口:石川門口、玉泉院丸口、鼠多門口(全日入園無料)
石川県観光企画課 TEL:076-225-1542