今年も奈良で「第74回正倉院展」が開催

北倉 漆背金銀平脱八角鏡 飛鳥や鳳凰、唐草文をあしらった華やかで優美な品
鏡や香木、装いに関する宝物が見どころ
毎年秋に勅封(ちょくふう)が解かれ、宝物の点検を行うのに合わせて開かれる正倉院展が、奈良国立博物館で10月29日~11月14日に開催される。
9000件を数える正倉院宝物の中から出陳される品々は、最新の研究成果や話題性などを考慮して決められるが、今年の見どころは、漆背金銀平脱八角鏡(しっぱいきんぎんへいだつのはっかくきょう)。聖武天皇の后(きさき)・光明皇后が756年に東大寺盧舎那仏(るしゃなぶつ)に献納した品の一つで、花の形に鋳造された銅鏡の背面に黒漆を塗り、文様部分の漆を剥いで仕上げた雅やかな品だ。さらに「蘭奢待(らんじゃたい)」と並ぶ名香木・全浅香(ぜんせんこう)も登場する。
そのほか聖武天皇の娘・称徳天皇が東大寺へ行幸した際、献納されたと伝わる銀壺(ぎんこ)や、彩絵水鳥形(さいえのみずどりがた)など装いに関する宝物にも注目したい。

南倉 銀壺
表面には馬に乗る人や鳥獣の細かい文様が施されている

中倉 彩絵水鳥形
鳥の形をした装身具。ヒノキの薄い板を切り取ったもので、彩色に加え羽毛が貼り付けられている
写真提供(3点)/宮内庁正倉院事務所
第74回正倉院展
9時~最終入館17時(金曜~日曜、祝日は同~19時)/無休/一般2000円
観覧には「前売日時指定券」の予約・発券が必要で、チケット売り場での販売はない。
(WEB掲載:2022年10月26日)
