【中井精也の ゆる鉄写真館】木次線
県境の新緑に分け入る木次(きすき)線
「県境」という言葉には、
なんとも言えない浪漫(ろまん)があります。
山国ニッポンの県境は、
人を寄せ付けないような
険しい山にあることが多く、
そのぶん絶景が多いのです。
この爽やかな森の風景も、
まさに広島と島根の県境付近。
県境を越えて島根県に入ると、
そこには日本有数の難所である
3段式スイッチバックが待ち受けています。
列車は何度も方向を変えながら、
ゆっくりと山を下っていきます。
文・写真/中井精也
1967 年、東京生まれ。鉄道写真家。独自の視点で鉄道を撮影し、『ゆる鉄』など新しい鉄道写真のジャンルを生み出した。甘党。著書・写真集に「1日1鉄!」(インプレス)など。2015年講談社出版文化賞・写真賞受賞。
(出典:「旅行読売」2023年5月号)
(Web掲載:2023年5月1日)