能登半島の自然と、実り豊かな里山里海。そこに暮らす人々とのふれあいも楽しみ。
能登半島北岸に、白米(しろよね)千枚田と呼ばれる大きな棚田がある。日本海の大海原を背景にして、千枚以上もの田んぼが連綿と続く絶景地である。急傾斜さえ農地に変えてしまう知恵と工夫の賜物である。
豊かな食文化を育んできた能登半島、その恵みをもたらしたのは、そこに暮らす人々である。農地を中心として集落を形成する里山と、海の恵みを得ながら生活する人々が暮らす里海。この里山里海が密接に繋がって、豊かな農村文化を形成しているのだ。
伝統的な農林漁法を今も活かしながら、いにしえの文化や景観を守り続けているところから2011年、世界農業遺産に認定された。能登の農林水産業と、それに関連する全ての人々の営みや暮らしそのものが、その対象とされている。
ここでのオススメは、様々な体験が可能な農家民宿に泊まること。囲炉裏を囲みながら郷土の味覚を味わえるだけでなく、キノコ狩りや稲刈りなども体験できる。
能登の自然に惹かれて移住してきた人も多い。自家焙煎珈琲店 神音(かのん)の武藤さんや里山まるごとホテルの山本夫妻、コーストテーブルの齋藤さんは県外からの移住組だ。能登に来て「昔の日本の豊かさに気付かされたのです」と言う武藤さんは、あえて不便とも思える山奥を目指した。「里山ご飯の美味しさに目覚めました」という山本さんは、かまど炊きご飯と発酵食を提供するお店を運営している。
守るべき景観や文化、祭礼などが目白押しの能登半島。環境保全の重要性にも目を向けたい。