上堀駅【富山地方鉄道上滝線】
100年近い歴史がにじむ立山の麓の木造駅舎
南富山駅と岩峅寺(いわくらじ)駅を結ぶ富山地方鉄道上滝(かみだき)線に乗った。かつて常願寺川の治水・電源開発を手がけた県が富山県営鉄道として開業。現在、列車はすべて電鉄富山駅から本線-不二越(ふじこし)線を経由して直通している。
電鉄富山駅を出発した2両編成の列車は稲荷町駅で本線と分かれ、大きく張り出した軒が一際目を引く、上堀(かみほり)駅に着いた。板張り外壁の駅舎は1921年開業当時のもので、駅舎内には木製ベンチも設置されレトロ感が漂う。駅前が未舗装というのも、ローカル色をいっそう濃くしている。駅前には花壇があり、地元の人々の手によるものだろうか、四季折々の花が風格ある駅舎に彩りを添える。
ここから雄山神社前立社壇(立山の前に立つ社であることからそう呼ばれる)が近い終点の岩峅寺駅へ。常願寺川にかかる美しい骨組みの鉄橋の先に、夏雲を抱いた立山連峰が迫ってきた。
文・写真/越信行
富山地方鉄道上滝線は1921年全線開業。上堀駅は同年開業。上堀駅へは電鉄富山駅から13分
(出典「旅行読売」2017年8月号)
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