【鉄道ひとり(一人)旅】春早い房総半島を1周、花、海の幸、絶景を楽しむ <内房線-外房線>(1)
東京湾を眺めながら浜金谷―保田駅間を走る内房線の列車(写真/越 信行)
関東でも春の訪れがひと足早い房総半島、春を探す2日間
2月4日は早くも立春。雪が雨に変わる「雨水(うすい)」、冬籠りの虫が這(は)い出す「啓蟄(けいちつ)」、そして「春分」へと季節は進む。野山は色付き始め、日が延びる。人も縮(ちぢ)こまってはいられない。そんな思いに背中を押されて、関東でも春の訪れがひと足早い房総半島をぐるりと1周する旅に出た。東京駅から内房線で館山駅へ向かい1泊。翌日は外房線に乗り継ぎ太平洋岸を北上して春を探す2日間だ。
東京駅を出て途中の千葉駅で駅弁を買い、内房線各駅停車でのんびり進む。マンヨーケンの駅弁は、この時期にふさわしい名前の「菜の花弁当」がおすすめだ。浜金谷(はまかなや)駅で下車して鋸山(のこぎりやま)を散策するので昼食の楽しみとした。
鋸山は標高329.5メートルの低山ながら、千葉県を代表する観光地。房州石を切り出した跡の荒々しい山容がその名の由来だ。駅から徒歩8分のロープウェイ乗り場から4分で山頂駅に着くので、気軽に低山登山が楽しめる。東京湾、房総半島を一望する「地獄のぞき」へは山頂駅から歩いて往復約40分。三浦半島も、その向こうの富士山もくっきり見えた。

鋸山ロープウェイから見下ろす金谷港。対岸の久里浜港とを結ぶフェリーも発着(写真/ピクスタ)
浜金谷駅に戻り跨線橋(こせんきょう)に上ると、貨物船や漁船が行き交う東京湾が見えた。見下ろすホームは長くて静かだ。かつてはこのホームいっぱいに停まる列車から、多くの行楽客や海水浴客が降り立ったことだろう。

大正期に造られた駅舎が残る浜金谷駅。水色の屋根瓦が印象的だ
次に降りた富浦駅から歩いて10分ほどの岡本桟橋(原岡桟橋)は、そのレトロ感が人気を集めている。民家が寄り添う狭い路地を抜けると紺碧(こんぺき)の空と海、広い砂浜が開け、1本の桟橋が延びていた。大正期に漁業用として整備された桟橋は途中まで木製。その先はコンクリート製で長さ約160メートル。手すりも柵もなく、木製部分の板のすき間からは海が見えてちょっとスリリングだが、先端まで歩いてみた。少し海上に出ただけで風が変わり、潮の香りが濃くなった。水面はうねり、音も変わった。まるで異空間に取り残されたかのよう。正面には富士山。振り返ると砂浜の人たちが小さく見えた。

富浦駅から近い岡本桟橋(原岡桟橋)。富士山のシルエットが浮かぶ夕刻は裸電球に明かりがともり、レトロ感が増す

昼間は澄んだ海水がきらめき潮風が心地良い

列車は少ないので計画は綿密に!

大きなヤシの木が茂る富浦駅前。房総半島ではヤシの木をよく目にし、和田浦駅前や館山駅前にも大きなヤシの木があった

今は原則5両編成で運行する内房線特急がやって来た
ひとり旅の宿🏨
休暇村館山 <館山>
館山湾に面し、全室から海や富士山が見える。ガラス張りの大浴場、海に突き出た露天風呂からの眺めもいい。1泊2食1万8150円~のひとり旅プランは1日5室限定。通常プランは同2万150円~。3月19日までは土産に切り花が付くプラン(同2万650円~)もおすすめ。

TEL:0470-29-0211 館山市見物725
ひとり泊データ
条件:通年可
料金:1泊2食1万8150円~、1泊朝食1万7150円~、素泊まり1万6150円~
客室:トイレあり10畳和室、30平方メートルツイン
食事:夕・朝食=レストラン
日帰り入浴:不可
交通:内房線館山駅からバス20分、休暇村前下車すぐ
房総白浜ウミサトホテル <千倉>
太平洋が広がる白浜海岸に立つ。全室オーシャンビューで、朝日、夕日、星空の眺めも期待できる。温泉は湯冷めしにくい塩化物泉。色浴衣の無料貸し出しあり。刺し身、握りずし、小鍋、漁師汁などが並ぶ夕食バイキングでは、自分で焼きながら味わう海鮮浜焼きも楽しみ。

TEL:0470-38-5121 住所:南房総市白浜町白浜7034
ひとり泊データ
条件:通年可
料金:1泊2食1万2430円~、1泊朝食8800円~、素泊まり8250円~
客室:トイレあり7.5畳和室
食事:夕・朝食=レストラン
日帰り入浴:不可
交通:内房線千倉駅から送迎25分(要予約)

館山駅西口の夕映え通り。海までの真っすぐな道にヤシの木が並ぶ

コースアドバイス
◉ 大原駅からの帰路は外房線経由のほか、大原駅からいすみ鉄道-小湊鐵道を乗り継いでもいい。沿線に菜の花畑が広がる。いすみ鉄道は全区間でバス代行輸送中のため事前に時刻の確認を。
文/渡辺貴由 写真/齋藤雄輝ほか
【鉄道ひとり(一人)旅】春早い房総半島を1周、花、海の幸、絶景を楽しむ <内房線-外房線>(2)へ続く
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2026年3月号)
(Web掲載:2026年3月18日)


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