【鉄道ひとり旅】ローカル線で房総の駅弁と温泉を満喫(1)小湊鐵道~いすみ鉄道
小湊鐵道の上総久保駅の横には11月に見頃を迎える大イチョウが立つ(写真/松尾 諭)
房総半島を横断する乗り通しのローカル線の旅
「都心から近く、旅気分が味わえて、日帰り可能なローカル線は?」と聞かれたら、間違いなく小湊(こみなと)鐵道・いすみ鉄道を推すだろう。田園や里山を走る両鉄道の終点、上総(かずさ)中野駅で乗り換えれば、房総半島を横断する乗り通しの鉄道旅が楽しめる。
今回は小湊鐵道の五井駅からスタート。ホームにはキハ40形という国鉄時代の車両が止まっていた。座席は、2人用シートが向かい合わせになっているボックス席だ。
エンジンを唸(うな)らせ走り出す列車の窓から外を見ると、空が広いことに気付く。電気で走る電車ではなく、エンジンで走る気動車だから、空を横切る電線がない。そのため、都心の列車とは全く違う乗り心地。車窓の景色も広く感じる。
駅舎は木造で趣のあるものが多い。特に国の登録有形文化財の上総鶴舞(つるまい)駅は、ドラマ撮影にもよく使われる。上総久保駅の駅舎横に立つ大イチョウは、秋には金色に色付く。
里見駅では、予約しておいた駅弁を車中で受け取った。購入した「焼き豚弁当」は、千葉県旭市産豚肉、市原市産高滝米を使用したこだわりの駅弁。豚肉が大変やわらかく、ニンニクとしょうゆの甘い味付けでご飯が進む。
養老渓谷駅でバスに乗り換え、20分ほどで終点の「ごりやくの湯」に到着。奥の駐車場から「金神(こんじん)の滝」へ続く川沿いの道がある。赤い鳥居の先にある「金神の滝」は、落差が約35メートルあり、紅葉の時期は、さぞかし見事だろう。
歩いた後は、日帰り温泉「ごりやくの湯」の温泉に入って汗を流した。泉質は炭酸水素塩泉で、出た後は肌がツルツルになった。
文/やすこーん 写真/青谷 慶ほか
【鉄道ひとり旅】都心からすぐのローカル線で房総の駅弁と温泉を満喫(2)小湊鐵道~いすみ鉄道へ続く(12/30公開)
やすこーん=文
青森県生まれ。2008年の「寝台特急はやぶさ」乗車をきっかけに「乗り鉄漫画家」として活動。駅弁・駅そばのイラストエッセーを描き、テレビやラジオにも出演。著書に『おんな鉄道ひとり旅』(小学館)、『メシ鉄!!!』(集英社)、『やすこーんの鉄道イロハ』(天夢人)など。
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:旅行読売2024年11月号)
(Web掲載:2024年12月29日)