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【桜の咲く駅へ】いすみ鉄道・小湊鐡道で房総半島横断

場所
> 大多喜町、市原市
見頃
3月下旬~4月上旬
【桜の咲く駅へ】いすみ鉄道・小湊鐡道で房総半島横断

いすみ鉄道総元駅。線路の両脇に桜の木がある

 

里山の桜と菜の花を愛でながら列車を乗り継ぐ

桜と菜の花との競演を期待するなら、ローカル線を乗り継いで房総半島を横断するルートがおすすめ。日帰りでも、のどかな里山に咲く桜と菜の花をゆったり楽しめる。

まずは、外房線の大原駅から上総中野(かずさなかの)駅までの26.8キロを56分で走るいすみ鉄道に乗車。走り出すと間もなく線路脇の菜の花が迎えてくれる。まるで黄色いじゅうたんの上を走っているようで心地いい。菜の花は前年に満開になった場所に、翌年も花を咲かせるとは限らない。職員と地域の人が協力して種を撒(ま)き、手入れもするそうだ。

大多喜駅では鉄印(300円~)ももらえる

東総元駅を過ぎた辺りから、桜が車窓一杯に広がる。さらに2駅行った総元駅は、駅全体が菜の花と桜に包まれているよう。途中下車して、しばしたたずんでいたい。次の西畑駅までの間には、線路脇の斜面に並ぶ桜が作る絶景のトンネルが待っている。

西畑―総元駅間を走るいすみ鉄道の列車(写真/ピクスタ)

終点の上総中野駅で、接続する小湊鐵道に乗り換え、五井駅を目指す。小湊鐵道は上総中野駅と内房線五井駅の間39.1キロを約1時間で結んでいる。途中の上総牛久駅までは里山の牧歌的な風景の中を走る。桜と菜の花と古い木造駅舎のコントラストを眺められる。

小湊鐵道飯給駅。地域の人たちが協力し、 桜が満開の頃に田んぼに水を引き込む

構内に足湯のある養老渓谷駅を過ぎると間もなく、石神菜の花畑。一面の菜の花がまぶしい。

ぜひとも途中下車したいのが、飯給駅だ。桜の見頃になると近隣の住民たちが駅舎の脇の田んぼに水を引き込み、見事な水鏡ができ上がる。そして桜と駅舎が鏡に映る姿を撮影しようと、多くの鉄道カメラマンが集まる。季節の終わりには、散った花びらが水辺をピンク色に染めるという。

小湊鐵道のトロッコ列車

小湊鐵道では3月下旬から12月の上旬まで、観光列車「房総里山トロッコ」(乗車券+トロッコ指定券600円、要予約)を運行する。窓ガラスのないオープンタイプの車両で、春風に吹かれながら桜を愛でるのもいいだろう。

文/高崎真規子


■いすみ鉄道・小湊鐵道

見頃 :3月下旬~4月上旬

大原駅と上総中野駅を結ぶいすみ鉄道と、上総中野駅と五井駅を結ぶ小湊鐵道は房総半島を横断するローカル線。両鉄道を連続して乗車、途中下車もできる房総横断記念乗車券1730円もある。

TEL:0470-82-2161(いすみ鉄道)

TEL:0436-21-6771(小湊鐵道鉄道部)

※データは掲載時のものです。

 

(出典:「旅行読売」2023年2月号)

(Web掲載:2023年3月29日)

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Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

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