下小代駅【東武日光線】
役目を終えた旧駅舎が新しい駅舎を見守る
栃木駅から東武日光線の普通列車で日光へ向かう途中、下小代(しもごしろ)駅に寄った。
この駅を初めて訪ねた2003年当時、開業時に建てられた木造の古い駅舎がまだ現役で使われ、その風格あるたたずまいに圧倒されたことを覚えている。
現在は新しい駅舎に建て替えられたが、旧駅舎の入り口の雰囲気を感じさせる木造の板張り壁の建物となっている。旧駅舎より規模が小さくなったため、余った土地にはコスモスが植えられ、9月になると秋風が可憐な花を揺らす。
駅を出ると旧駅舎が目に飛び込んできた。建て替えの際に保存を望む声があったことから、2007年に移設。老朽化部分は修繕され、2009年には国の登録有形文化財に登録された。
可憐なコスモスと思い出に包まれながら、小さなローカル駅をあとにした。
文・写真/越信行
東武日光線は1929年全線開業。下小代駅は同年開業。下小代駅へは栃木駅から東武日光線普通列車で40分
(出典「旅行読売」2017年10月号)
旅行読売人気連載「駅舎のある風景」が書籍になって発売!
*2021.6.28発売 定価1430円(税込)