横浜発の豪華列車「ザ・ロイヤルエクスプレス」で南伊豆へ(2)
停車中のザ・ロイヤルエクスプレスとクルー。乗車回数が10回を超えるリピーターもいるそう
車窓の眺め、車両ごとに変わる意匠と雰囲気を楽しむ
伊東駅から単線の伊豆急行線に入り、伊豆高原駅では30分ほど停車。ホームに降りると、名産の地海苔(のり)をプレゼントされた。こういった地元の人々のもてなしや駅での見送りが、素朴で温かい。
3号車のマルチカーでは、期間限定マルシェが開催中だった。展覧会や結婚式にも利用される車両で、天井では電気鋳造パネルが金色に光っている。
車内を歩いてみると、4号車はキッチンカー、5・6号車はプラチナクラスの食堂車、7・8号車はその座席だ。ステンドグラスを配した天井、寄木細工(よせぎざいく)の床、組子細工(くみこざいく)が施された窓枠やイス……。車両ごとにガラリと変わるデザインと雰囲気に驚く。
水戸岡氏の言う「どこにもない、オンリーワン」とはこういうことか、と実感。海の眺めが最も美しい、と教わった片瀬白田(かたせしらた)—伊豆稲取(いずいなとり)駅間では、クルーおすすめの「手むきみかんジュース」を飲むことに。「大島に加えて、利島(としま)や新島(にいじま)、三宅島がこんなにハッキリと見えるのは珍しいですよ」と聞き、車窓風景を目に焼き付けた。
終点到着後は、下田温泉など伊豆下田観光へ
河津駅に停車中、サプライズの生演奏が始まった。ヴァイオリニストの大迫淳英氏が演奏してくれたのは、ザ・ ロイヤルエクスプレスのテーマ曲。「音の記憶って、強く残るんですよ。この音楽とともに、記憶に残る列車の旅になれば」と大迫氏。こうして贅沢で満ち足りた3時間が完結した。
伊豆急下田駅に到着後は、なまこ壁や伊豆石造りの家並みが続くペリーロードを散策し、下田温泉の足湯めぐりをするといい。2019年8月にリニューアルした下田ロープウェイへの乗車もおすすめだ。
文/内山沙希子 写真/齋藤雄輝
THE ROYAL EXPRESS
運行区間:横浜―伊豆急下田
料金・運行:月やコースによって異なる。詳細は公式ホームページ参照
問い合わせ:TEL03-6455-0644(THE ROYAL EXPRESS ツアーデスク)
(出典「鉄道の旅2020」)
(ウェブ掲載 2020年6月2日)