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南会津の渓谷沿いを快走する、お座トロ展望列車(2)

場所
> 南会津町
南会津の渓谷沿いを快走する、お座トロ展望列車(2)

西若松―会津若松は水田地帯が広がる。秋には辺り一面が黄金色に輝く

橋梁から渓谷美を堪能、後半は田園地帯を走る

会津鉄道には鉄橋が多い。景色は緑のトンネルと渓谷の連続で、飽きることがない。

塔のへつり駅を出てすぐ、阿賀川に架かる第五大川橋梁の上で列車が停まった「空中に浮かんでいるみたい」。乗客らが手すりから身を乗り出すようにして景色に見とれる。

「湯野上(ゆのかみ)温泉―芦ノ牧温泉駅間2か所の鉄橋でも一時停車します。それから、間もなくトンネルが続きますが、車内の照明は消しますので」と福田さん。

トンネル内でライトダウンすると、トンネルの壁面に芦ノ牧温泉駅のネコ駅長「らぶ」などを題材にしたアニメーションが映し出された。「大手鉄道会社さんの 観光列車のような投資はできませんが、創意工夫と手作り感を大切にしています」と会津鉄道営業課長の渡部浩二さんは話す。

お座トロ 湯野上温泉駅
湯野上温泉駅は、大内宿への玄関口らしく駅舎は茅葺き屋根。5分ほど停車する
お座トロ スタッフ
会津下郷−湯野上温泉駅間では、特産のニジマスをフライして挟んだご当地グルメ「ますバーガー」を販売
お座トロ アニメ
トンネルシアターは、車両天井のプロジェクターからトンネルの左右の壁面に映像を投影する仕組み

「牛乳屋食堂」の名物、ソースカツ丼駅弁

芦ノ牧温泉駅を出ると、景色はのどかな田園光景に変わる。田植えが済んだ水田に、周囲の山並みが映り込む。福島県は米の生産量全国6位(2018年)米どころ。

そういえば予約した弁当を食べていないことに気づいた。松茸二段弁当悩んだ末に選んだのは「ソースカツ丼駅弁」。芦ノ牧温泉駅近くの行列ができる人気店「牛乳屋食堂」の名物メニューだ。煮立ったダシにつけてから秘伝のソースをかけたという会津豚の肩ロースのトンカツが、地元産コシヒカリのご飯にドーンと載る。

会津若松駅着は13時28分。会津田島駅からの帰りの東武特急の出発時刻まで4時間近くある。それまで鶴ヶ城を見学しようか、それとも芦ノ牧温泉駅の「らぶ」に会いに行こうか......。思案の結果、湯野上温泉駅で下車して大内宿に行くことに決め、隣線に停まっていた会津田島行きの快速列車に乗り込んだ。

文・写真/天野久樹

お座トロ 駅弁
全国丼グランプリで金賞を獲得した牛乳屋食堂のソースカツ丼
お座トロ 大内宿
江戸時代、会津西街道の宿場町として栄えた大内宿(写真提供/下郷町)

お座トロ展望列車

運行区間:会津若松―会津田島

料金・運行:詳細は公式ホームページ参照

問い合わせ:TEL0242-28-5885(会津鉄道

(出典「旅行読売」2019年8月号)

(ウェブ掲載 2020年6月8日)

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Writer

天野久樹 さん

1961年、秋田市生まれ。過去に全国紙の運動部記者として、大相撲やモータースポーツ、アマチュア野球などを取材。現在は月刊「旅行読売」で、特集面の取材や全国観光ニュース情報などを担当している。イタリアの国立大学(ペルージャ外国人大学イタリア語・イタリア文化プロモーション学科)を卒業したキャリアを活かし、イタリア語の翻訳も行っており、訳書に「アイルトン・セナ 確信犯」(三栄書房)がある。

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