真室川駅【奥羽線】
城を思わせる瓦屋根、金色のシャチホコが輝く
新庄駅を出た奥羽線は、最上(もがみ)川の支流の真室(まむろ)川に沿って県境の雄勝峠(おがちとうげ)へと駆け上がっていく。その麓(ふもと)にあるのが真室川町だ。
町のシンボルで「森の停車場」と称する真室川駅には、薪ストーブが置かれた待合所のほかに、地元の野菜や土産物などを販売する売店が併設されている。地元の木材を使った木造駅舎は城を思わせる外観で、瓦(かわら)屋根の上で金のシャチホコが踊る。
〝踊る〟といえば、ここは鉱山や軍用飛行場関係者らにより歌い広められた真室川音頭(おんど)の発祥地。駅舎前には小さな碑が立ち、真室川音頭全国大会も催される。
駅から2㌔ほど南の真室川を望む高台には、1535年に築かれ鮭延(さけのべ)越前守秀綱が居城とした鮭延城の跡がある。また、駅の東3㌔ほどの野々村ため池には冬鳥が集い、出羽富士とも呼ばれる鳥海山(ちょうかいさん)を水面に映す。
文・写真/越信行
奥羽線は1905年全線開業。真室川駅は1904年に新町(あらまち)駅として開業、1916年に改称。真室川駅へは新庄駅から普通15分
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