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嵯峨野観光線のトロッコ列車に揺られ、秋色に染まる保津峡を抜けて

場所
> 京都市、亀岡市
嵯峨野観光線のトロッコ列車に揺られ、秋色に染まる保津峡を抜けて

色付く山裾を走るトロッコ列車。途中、保津川を下る舟やラフティングが見られることもある

渓流沿いをゴトゴト走るトロッコで紅葉狩り

歴史ある寺社での紅葉狩りだけではない。渓流沿いをゴトゴト走るトロッコに乗って、色めく山々の懐に遊ぶのもまた、京都の秋である。あわせて、NHK大河ドラマの主人公・明智光秀ゆかりの地を散策しようと、嵯峨野トロッコ列車の旅を計画した。

京都駅から山陰線(嵯峨野線)で15分。始発駅となるトロッコ嵯峨駅は、旅の始まりにふさわしい魅力にあふれている。ジオラマやSL展示、カフェ、ショップなどがあり、トロッコの発車時刻まで楽しいひと時が過ごせる。紅葉時期の乗車券は事前予約が望ましい。希望者は時間に余裕を持って出かけよう。

列車は1時間に1本。トロッコ嵯峨駅を出発すると、トロッコ亀岡駅までの7.3キロを25分かけて走る。平均時速は25キロで、窓の外をゆっくりと景色が流れていく。DE10型ディーゼル機関車が牽引(けんいん)するのは5両編成の客車。トキ25000形貨車を改造した車両で、木製のイスと裸電球がレトロな雰囲気を醸す。窓ガラスのないオープン型車両は5号車で、秋風が心地よく感じられるだろう。

山陰線と並走していた列車は、トロッコ嵐山駅を過ぎると保津川沿いを走り始める。京都盆地と亀岡盆地を結ぶ、全長11.5キロの保津峡は、秋になるとモミジやカエデ、ウルシなどの紅葉が鮮やかだ。嵯峨野観光鉄道は、山陰線の複線化により使用されなくなった線路を観光利用するため、1990年に誕生した。桜やカエデを植樹して沿線の美化に取り組んだことが、現在の景観につながっている。

「沿線には約1000本のカエデやヤマモミジがあり、ライトアップもきれいですよ」と広報担当者。紅葉は例年11月中旬から見頃となる。

保津川橋梁を渡り、清滝トンネルを抜けると、まもなくトロッコ保津峡駅。秘境駅の趣があり、トロッコや川下りの舟を撮影するカメラマンの姿も見かける。写真好きはここで途中下車する行程を組むのも一案だ。再び川沿いを走り出した列車は、約500メートルの朝日トンネルなど六つのトンネルを抜け、終点のトロッコ亀岡駅に着く。

 

トロッコ
開放感抜群のオープン型の車両もある
トロッコ前景
きっぷの予約購入はJR西日本の駅のみどりの窓口やJR西日本のインターネットサービスで
紅葉ライトアップ
トロッコ嵐山―トロッコ亀岡駅間で行なわれるライトアップ

光秀が築いた亀岡城跡で往時をしのぶ紅葉狩り

NHK大河ドラマ「麒麟がくる」は明智光秀が主人公。ゆかりの地の一つである亀岡も盛り上がっている。

1582年の本能寺の変で、光秀が軍勢を集結させた篠村(しのむら)八幡宮、進軍コースの一つの唐櫃越(からとごえ)は、トロッコ亀岡駅から徒歩20分ほどの場所にある。

今回はトロッコ亀岡駅からJR亀岡駅までバスで移動し、丹波亀山城跡を散策することに。1578年、光秀が丹波統治の拠点として築いた丹波亀山城は、明治維新後に廃城処分となり、現在は宗教法人大本が所有している。修復された石垣と紅葉の競演が楽しめるので、大本本部の総合受付に声をかけてから見学しよう。

城下町をぶらぶら歩き、昼食は「がんこ 京都 亀岡 楽々荘」へ。京都鉄道の創設者として現在の嵯峨野観光線などを敷設した田中源太郎の旧邸で、建物3棟は国の登録有形文化財だ。天ぷらや刺し身を盛り込んだ光秀愛妻御膳を味わい、日本庭園を散策。7代目小川治兵衛の作庭で、保津峡を見立てた造りとなっている。

JR亀岡駅に戻り、嵯峨嵐山への帰路はお好みで。保津川下りならおよそ2時間の舟旅で、奇岩巨石の点在する峡谷の美しさが堪能できる。トロッコ列車で戻るならトロッコ嵐山駅で下車し、竹林の道を通って、天龍寺や渡月橋(とげつきょう)で紅葉を愛でるといい。渡月橋から嵯峨嵐山駅までは徒歩10分ほどだ。

文/内山沙希子

亀山城
丹波亀山城跡がモミジやイチョウで彩られるのは、11月中旬〜下旬頃(写真/栗林幸生)
保津峡 川下り
保津川下り。川面から眺める紅葉も美しい(写真/保津川遊船企業組合)
トロッコ嵯峨駅
トロッコ嵯峨駅にあるジオラマ京都JAPAN

嵯峨野観光線

起点までの交通:京都駅から山陰線(嵯峨野線)15 分、嵯峨嵐山駅下車すぐ

(出典「旅行読売」2019年11月号)

(ウェブ掲載 2020年8月21日)

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Writer

内山沙希子 さん

京都生まれ。本や雑誌を作る仕事を求め、大学在学中に上京。その後、美術館やレストラン、温泉宿、花名所、紅葉名所等のガイドブックを中心に、雑誌や書籍の企画・編集に携わる。2017年頃から月刊「旅行読売」で原稿の執筆を開始。「旅行読売」での取材を通して、鉄道旅に目覚めるかどうかは未知数。