紅葉に覆われる参道を抜けて明智光秀ゆかりの西教寺へ(2)
延暦寺の里坊の一つ、旧竹林院。庭園の紅葉が主屋の座卓に映り込む
戦乱の世を思い、秋の恵み菊料理を堪能
1571年、織田信長の比叡山焼き討ちによって西教寺の堂宇も焼失。再建に力を注いだのが、坂本城の城主となった明智光秀である。現在の西教寺の総門は坂本城の城門を移築したもの。境内には光秀とその一族の墓や妻・煕子(ひろこ)の墓もある。
長い歴史の中で境内の堂宇の位置は変化しているが、光秀が西教寺を復興した時代から今日まで、槻(けやき)坂と呼ばれる坂の位置は変わっていないという。「勅使門の北側から本堂へとつながるこの坂を上り、明智光秀も参拝に訪れたことと思います」と西教寺社会部主事の中島さん。
明智光秀公資料室では光秀直筆の寄進状をはじめ、貴重な資料を展示。「びわ湖大津・光秀大博覧会」は2021年2月7日まで開催されており、西教寺内の塔頭(たっちゅう)寺院である禅明坊(ぜんみょうぼう)ではびわ湖大津「麒麟がくる」展と「近江の光秀ものがたり」展が見学できる。
紅葉と歴史に浸ったら、菊御膳料理(要予約)で秋の西教寺を締めくくろう。11月上旬から30日まで、坂本名産の食用菊を使用した精進料理を提供している。坂本では「菊を食べないと秋を迎えた気にならない」と言われるそう。菊酒に始まり、菊なます、菊のてんぷら、菊寿司……。ほのかな香りとともに、菊尽くしの料理を楽しみたい。
日吉大社や竹林院など紅葉の名所をたどる
坂本の町でさらに紅葉狩りをするなら、日吉大社は外せない。西教寺からバスに乗ってもいいが、「山の辺の道」を歩けば20分ほど。途中、琵琶湖の眺望も楽しめる。日吉大社の境内では3000本のモミジやカエデが華やかだ。
日吉大社の鳥居から坂本比叡山口駅まで続く日吉馬場を下れば、桜並木も秋色に染まっている。馬場の両側には旧竹林院などの里坊(延暦寺の僧侶が里に設けた院や住居)が残り、石工集団として知られる穴太(あのう)衆積みの石垣が美しい。歴史好きは琵琶湖畔の坂本城跡まで足を延ばしては?
文/内山沙希子 写真提供/びわ湖大津観光協会
住所:滋賀県大津市坂本5-13-1
交通:京阪電鉄坂本比叡山口駅からバス4分、西教寺下車すぐ。または坂本比叡山口駅から徒歩25分/名神高速京都東ICから国道161号経由12㌔
TEL:077-578-0013
TEL:077-528-2772(びわ湖大津観光協会)
(出典 「旅行読売」2020年10月号)
(ウェブ掲載 2020年10月2日)
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