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八百万の神々が出雲に会する 神在月(前編)

場所
> 出雲市
八百万の神々が出雲に会する 神在月(前編)

全国から神々が集まる出雲の秋。その道程を辿り、日が沈む聖地で同じ時の流れを感じたい。

茜色に染まる空が煌(きら)めく大海原を覆い尽くそうとし、浜にそそり立つ弁天島がシルエットになり浮かび上がっていく。出雲大社(いづもおおやしろ)の西に広がる稲佐の浜にやってくる神々もしばし見とれてしまうかもしれない絶景が眼前に広がった。この浜は大国主神が国を譲ることを承諾したといわれる所で、「古事記」の国譲りの舞台として知られる。

旧暦10月のことを神無(かんな)月というが、出雲地方では神が集まる「神在(かみあり)月」と呼ぶ。これは他の土地の神様は留守にする一方、出雲に来て一堂に会することによる。稲佐の浜で神々を迎える神迎(かみむかえ)神事に始まり、神々が縁結びなどの相談をする神在祭、神々が出雲大社を去る神等去出(からさで)祭まで様々な神事が行われる。

神迎の道
稲佐の浜から見た神迎の道

神々が出雲大社へ向かう「神迎の道」は民家が立ち並ぶ細い道。老舗そば店や和菓子店が点在している。平時は歩く人は少なく、門前の喧騒とは無縁の静けさだ。約1㌔で出雲大社の入り口にあたる勢溜(せいだまり)に着く。

出雲大社かたりべガイドの小池清尹(きよただ)さんとともに参拝する。出雲で生まれ育った小池さんは「神在月の間はお忌みさんと呼び、歌舞音曲はもちろんのこと、大工仕事なども慎しみます」と、特別な期間であることを強調する。

十九社
十九社の前でガイドする小池清尹さん

最も古いものは樹齢400年という松が並ぶ参道を進み、銅鳥居をくぐると拝殿、そして御本殿が見えてくる。御本殿を囲む瑞垣内には通常入れないが、摂社や末社が立つ周囲を巡ることができる。「十九社は集まった神々が泊まるお社で、ここから毎日上宮へ行き神議(はかり)を行います」と小池さん。十九社の幅はかなり長く、東西2か所にある。

出雲国大社之図
ユーモラスな神々の様子が描かれている「出雲国大社之図」

出雲大社の東に隣接する古代出雲歴史博物館では、神議りの様子を描いた浮世絵「出雲国大社之図」を展示している。神々が木の札に男女の名を書いて結び付けている。「会議をする氏神様が見ているのは人々の日頃の行いです」と説明する学芸員の岡宏三さんの話を聞き、コロナ禍だからこそ、日々の生活を見つめ直さねばと感じた。

 

 

古代出雲歴史博物館

中央ロビーに展示された出雲大社の宇豆柱(うずばしら、国重文)と心御柱(しんのみはしら、複製)を囲むように常設展示室が並ぶ。

平安時代の本殿の1/10復元模型を展示する「出雲大社と神々の国のまつり」、プロジェクションマッピングで神話を紹介する「出雲風土記の世界」、国宝の銅剣や銅鐸などを展示する「青銅器と金色の太刀」のテーマ別展示のほか、神話シアターもある。

9時~18時(11月~2月は~17時)/第3火曜休/620円/☎0853-53-8600

 

 

神在祭 主な神事の日程

神迎神事、神迎祭 11月24日19時~

稲佐の浜に御神火が焚かれ、神々を迎える神迎神事が行われる。神事の後、奏楽が奏でられる中、神迎の道を行列が進む(2020年は中止)。出雲大社神楽殿で神迎祭が行われ、神々は一九社に鎮まる。

神在祭 11月25日9時~、11月29日10時~、12月1日10時~

旧暦10月11日から17日の7日間、神々が上の宮で翌年の収穫や縁結びについて神議りを行う。

縁結大祭 11月29日、12月1日10時~

神々に対して人々の幸縁結びを祈り、祝詞を奏上する。

神等去出祭 12月1日、10日

夕刻、出雲大社境内十九社にあった神籬(ひもろぎ)が拝殿に移動し、祝詞を奏上すると神々は出雲大社を去る。


※日時は2020年のもの。今年はコロナウイルス感染拡大防止のため、見学が可能な神事が限られます。最新情報は出雲大社ホームページを確認してください。

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Writer

旅行読売出版社 メディアプロモーション部 さん