琵琶湖望む客室露天も1万円台!
暮れてゆく空と湖を客室の露天風呂から眺める
夕日に染まる琵琶湖を眺めて
琵琶湖は日本でも有数の渡り鳥の越冬地。湖面で羽を休める鳥たちのように、レイクビューの温泉でのんびりと過ごしたい。そう考えて琵琶湖西岸のおごと温泉を旅先に選んだ。
宿泊は高台にある「里湯昔話 雄山荘」。案内された客室「露草」は広さ50平方㍍のモダンな和の空間。12畳半の和室に続いて、掘りごたつやライブラリーを設けた民芸調の小部屋がある。大きく開いた窓辺に立つと眼下に青々とした湖面がキラリ。小部屋の隣にはジャグジー付きの露天風呂があり、木の浴槽がしっとりした風情を漂わせている。これで1万円台とは、うれしい限りである。
勢いよくあふれ出る温泉は、無色透明のアルカリ性単純温泉で美肌効果も期待できそうだ。湯が満ちるまで、近江の民話や歴史の本を読みながらゆるりと待つ。
準備万端。わくわくしながら湯船に体を沈めた。琵琶湖を一望して西に目をやれば、比叡山の後ろに夕日が沈んでいくところ。ゆっくりと時間は流れ、茜あかね色の空が湖上に広がってきた。幻想的でダイナミックな美を愛めでながら、露天風呂につかるぜいたく。京都駅から約30分のアクセスで、こんな至福が味わえるとは思わなかった。シベリアから何千㌔も飛んで来る渡り鳥に申し訳ない気分だ。
自家菜園の野菜や果物が彩る
雄山荘は109の客室を持つ大型宿泊施設で、露天風呂付き客室はそのうちの55室だ。近江の昔話をモチーフにした男女別の大浴場「弁慶の引摺り鐘」と「天女の舞」があり、客室の露天風呂と併せて楽しめる。
建物に隣接した南向きの斜面に、約1500坪の本格的な自家菜園を持っているのも自慢の一つ。原木シイタケやユズ、水菜やカボチャ、ラディッシュなど収穫された野菜や果物が日々の料理に生かされている。
「社長と総料理長がここまで畑仕事に励んでいるような旅館、ちょっと他にはないですよ」。菜園を案内してくれた総料理長の森順一さんが笑いながらそう言った。
近江の滋味豊かな料理を賞味
夕食は館内の料亭「蒼天」でいただく。菜園直送のカブラを使ったキンメダイの蕪かぶら蒸し、琵琶湖にのみ生息するビワマスの造り、近江牛のステーキなどが次々と運ばれてきた。洗練された中に懐かしい滋味が感じられ、心休まるやさしい味わいだ。
館内にはワインや日本酒など地の酒を飲める店もあり、食後はぶらりとハシゴ酒を楽しんだ。地酒処で名物の鮒ふ な鮨ずしをアテに地酒を飲み比べたり、おしゃれなバーに立ち寄ってカクテルを味わったり、まるで町歩きをしているようで旅気分たっぷり。
クルーズで湖上から冬景色を
翌朝、社長の宇都木公一さんから耳寄りな情報を得た。「おごと温泉港まで当館から10分ほどなので、気軽にいろいろなクルーズも楽しめますよ」
湖上から冬景色を満喫できるとは、なんて魅力的なアクティビティー!期間中に再訪してぜひ体験してみよう。
文/北浦雅子 写真/清水いつ子
雄山荘宿泊プランはこちら
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<問い合わせ>
TEL:077-578-1144
(出典「旅行読売」2020年2月号)
(ウェブ掲載2020年12月29日)