「WEST EXPRESS 銀河」で、夜行列車全盛期を回想(2)
23時5分頃に通過した舞子駅付近から見えた明石海峡大橋
夜鳴きそばも登場する山陽路
「WEST EXPRESS 銀河」で、夜行列車全盛期を回想(1)から続く
京都駅31番線ホームを定刻の21時15分に出発した「WEST EXPRESS 銀河(以下、銀河)」の「山陰コース」。京都駅のほか大阪駅、三ノ宮駅でも乗車があり、ほぼ満席で西へ。車内では夕食の「銀河弁当」が配られ、乗客は自席やフリースペースで夜汽車の味を楽しむ。
途中停車駅での「おもてなし」も銀河の楽しみ。23時48分着の姫路駅で最初のおもてなしが催された(曜日により開催がない日も)。立ち食いそばとして人気の「まねきの駅そば」が、深夜の特別営業を実施するのだ。多くの乗客が店に並んで駅そばをすする光景は、かつての夜行列車全盛期の光景を彷彿とさせるものだった。
友人グループで、ファミリーで、思い思いの夜行列車の旅
銀河は0時42分に姫路駅を出発すると、翌朝の伯備線生山駅までは就寝時間となる。
クシェットでくつろぐ女性3人組に話を聞くと、「この席を取るために162回電話をかけました。以前、紀南コースに乗車して楽しかったのでリピートです」。またリクライニングシートの家族連れは、「クシェットを狙っていたのですが取れなくて残念。でも座席夜行も今やこの列車だけなので楽しんでいます。大阪在住ですが、少しでも長い時間を過ごしたくて京都から乗車しました」。夜行列車ファンを乗せて、銀河は深夜の鉄路を軽快に進んだ。
沿線の駅での「おもてなし」も心に残る
翌朝、6時2分に生山駅に到着。ここから終点までの間に3駅で「おもてなし」を受けた。生山駅では特産のトマト商品販売のほか、駅開業100周年記念ポストカードを配布し、コーヒーをサービス。
7時46分着の米子駅では、米子市の観光パンフレット配布のほか、朝食用の弁当を積み込む。駅弁の老舗、米吾の弁当を味わいながら中海の風景に見入っている
と、8時45分に松江駅に到着。ここではそば湯が振る舞われ、銀河関連グッズを多数販売。
松江駅を出発し、宍道湖を眺めながらラストスパート。そして9時31分、銀河は出雲市駅に到着。道中の様々なおもてなしや景色に飽きることなく、12時間の旅はあっという間であった。
文・写真/伊藤岳志
(出典:「旅行読売」2022年10月号)
(Web掲載:2022年10月9日)