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KAGAYA 星空への招待【秋の星空6選】

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KAGAYA 星空への招待【秋の星空6選】

美しい景色は地上にだけあるのではない。夜、空を見上げれば、そこにも絶景が広がっている。その事実を教えてくれるのが、星空写真家のKAGAYAさんの作品だ。輝く星や月が、それを映す地上の海や湖が、忘れがたい風景を作り出す。「秋の星空」写真6点を紹介してもらった。上の写真は、小笠原諸島・父島の海岸から見る天の川と彦星(ワシ座のアルタイル)

「宇宙と地球と自分の足元がつながっている風景が好き」

子どもの頃から星空を眺めるのが好きでした。学校の自由研究で88星座の星図を描いたり、フィルムカメラで撮影した星空写真を家族が寝静まった後、お風呂を暗室にして現像したり、少しずつ星空の世界にのめり込んでいきました。

星空は、二度と同じ星の配置になりません。月も惑星も雲もすべてが動いていて、今日見た夜空は一生に一度しか見られません。例えば、流れ星は地球に飛び込んできた小石が大気にぶつかり発光する現象ですが、この石も長い時間、宇宙を旅してきた歴史を背負う小天体であり、それが目前で光を放ち消えていく一瞬は、自分の力では生み出せませんし、再現できません。その瞬間を見逃したくない、そんな思いで撮影を続けています。

地上の風景を一緒に撮るのは、宇宙と地球と自分の足元がつながっている景色が好きだからです。宇宙の中の惑星の一つとして地球があり、その地表に森や山や雲がある。人が暮らす都市の風景も愛すべき宇宙の一部。それを記録しているのです。

流れ星の中でも特に明るく光る「火球」。長野県の森林で撮影
月の光によってできる月光虹(ムーンボウ)は、 満月の前後にしか見られない珍しい現象
都内スタジオのベランダから撮影した中秋の名月と飛行機。昇った直後の月は大きく見える

「カメラでしか捉えられないものを見たい」

そんな星空写真を撮るのに画期的だったのがデジタルカメラの登場でした。フィルムの時代は、星は暗いので、光を集めるためにシャッタースピードを遅くする必要がありました。数分間シャッターを開けて撮影する間に、地球の自転で星の位置が動くため、その動きに合わせて赤道儀でカメラも動かさなければなりません。でないと星は流れて線のように写ります。カメラを動かせば、星が写る代わりに、地上の風景はぶれてしまいます。

超高感度のデジカメは、10秒~20秒程度のシャッタースピードで撮れるので、星は動かず、地上の風景もぶれません。その場でチェックして設定を微調整できるのもデジカメの利点。星空と景色を一緒に撮れるようになってから、仕事に写真を生かせるようになりました。

フィルムの頃は、写真で撮れない世界をイラストで表現していました。デジカメになってからは、空を四角く切り取るだけではなく、空全体を写せる魚眼レンズも使うようになり、動画も撮影しています。その場を追体験したい、肉眼では見えない、カメラでしか捉えられないものを見たいという思いが、星空のCG制作やプラネタリウムの映像制作につながっています。

秋の夜空もいいですよ。空気が澄んで月や星が良く見える日も多いです。夏よりも夜が長くなり、宵(よい)のうちは夏の星座、夜明けは冬の星座が楽しめます。秋の代表的な星座、W型をしたカシオペヤ座も見られます。月齢など星空を見るのに知っていたほうがいい知識はありますが、誰でも見られる、いつでも見られるのが星空です。晴れた日の夜、空を見上げてみてください。 

聞き手/福﨑圭介

秋田県東部の山あいで撮影した昇ったばかりのオリオン座。風のない日、水面に星が映る
月明かりに照らされる鳥取砂丘の空に、秋の星座、W形のカシオペヤ座。魚眼レンズで撮影

プロフィール

KAGAYA(かがや)

1968年、埼玉県生まれ。星空写真家。プラネタリウム映像クリエイターとして手掛けた「銀河鉄道の夜」は、国内外累計100館を超えるプラネタリウムで上映され、観客動員数100万人を突破し現在も動員記録を更新中。写真集『Starry Nights』、フォトエッセー集『一瞬の宇宙』、入門書『星空の楽しみかた』など著作多数。星空写真は小学校理科の教科書に採用。Twitterのフォロワーは90万人を超える。

(出典:「旅行読売」2022年11月号)

(WEB掲載:2022年11月30日)

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Writer

福崎圭介 さん

新潟県生まれ。広告制作や書籍編集などを経て月刊「旅行読売」編集部へ。編集部では、連載「旅する喫茶店」「駅舎のある風景」などを担当。旅先で喫茶店をチェックする習性があり、泊まりは湯治場風情の残る源泉かけ流しの温泉宿が好み。最近はリノベーションや地域再生に興味がある。趣味は映画・海外ドラマ鑑賞。

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