たびよみ

旅の魅力を発信する
メディアサイト
menu

【私だけのひとり旅】鎌倉の寺院でアジサイや竹林に癒やされる(2)

場所
> 鎌倉市
【私だけのひとり旅】鎌倉の寺院でアジサイや竹林に癒やされる(2)

木漏れ日が差す報国寺の竹林を巡りながら、風が生む葉の音に心癒される

 

静寂に満ちた古寺と至福のパン店巡り

【私だけのひとり旅】鎌倉の寺院でアジサイや竹林に癒やされる(1)から続く

カフェの角を曲がり250メートル先の階段を上ると源頼朝墓がある。東側の別の階段を上った北条義時墓とあわせて史跡法華堂跡になっている。2005年の調査で、義時墓の地下から墳墓堂(法華堂)の遺構が発見された。

バス通りに出て鎌倉宮脇の細い道をたどると覚園寺(かくおんじ) に突き当たる。境内は別の時間が流れているような静けさだ。薬師堂は本尊の薬師三尊坐像と十二神将を安置。「1218年に北条義時が造った大倉薬師堂が前身で、現在のお堂は1354年の再建です」と、職員に由緒などを説明してもらった。陽光に輝く青もみじ越しの茅葺(かやぶ)き屋根が印象に残った。

島津重豪(しげひで)が整備した法華堂跡の源頼朝墓
青もみじの下に立つ覚園寺の薬師堂。拝観料500円

次の報国寺へ近道をしようと路地を曲がったが、迷ってしまった。地図を見ていると、「どちらへ行きます?」と地元の男性に声を掛けられた。ひとりで旅しているが、決して孤独ではないと感じた。

報国寺では竹の庭に目を見張る。約2000本の孟宗竹が空に向かってまっすぐ伸び、竹林の間を小道が巡っている。その中を歩くだけで心が洗われるようだ。奥の休耕庵で抹茶を味わいながら、竹林を眺めてしばし時を忘れた。

報国寺の竹林。抹茶・和菓子とともに景観を楽しめる
報国寺休耕庵の抹茶

中庭では5月〜6月にかけて、ラン科のセッコク、真っ白な花のオオデマリなども見られる。広報担当者は西側の斜面を指し示し、「昨年、ユリの球根を植えたので7月頃に花が咲く予定です」と教えてくれた。境内に花が絶えないよう皆で管理しているそうだ。

ライバケットやカンパーニュなどハード系のパンが充実するKIBIYAベーカリー本店

鎌倉駅に戻り、また土産用にパンを買いたくなった。西口の御成通り商店街の路地にあるKIBIYA(キビヤ)ベーカリー本店は、自家製自然酵母を使ったハード系のパンが評判の人気店。店内は香ばしさが広がり、鼻腔をくすぐる。大量のパンが入った紙袋を抱え、早くも明日の朝食を想像して幸せな気分になった。

文/田辺英彦 写真/齋藤雄輝

 

鎌倉 立ち寄りたい寺社&店

四季折々の花も見られる枯山水の庭園

報国寺

1334年創建の臨済宗建長寺派の寺院。抹茶と花と竹の庭の禅寺として知られる。竹は通年だが、タケノコが顔を出す4月を過ぎ晩夏になると、青々とした姿を見せる。毎週日曜の朝7時30分から坐禅会を実施している。

■9時〜16時(抹茶受付〜15時30分)/年末年始休/300円(抹茶600円)/鎌倉駅からバス12分、浄明寺下車徒歩2分/TEL:0467-22-0762

※掲載時のデータです。

 

 

パンが焼き上がる香ばしいにおいが漂うKIBIYAベーカリー本店

KIBIYAベーカリー本店

1948年創業のパン店を引き継ぎ、2003年から現在のスタイルに。自家製自然酵母を使ったハード系にこだわり、かみ応えのあるクラスト(外側)としっとりモチモチしたクラム(内)が特徴。

■ 10 時〜17 時/水曜休/鎌倉駅から徒歩5分/TEL:0467-22-1862

※掲載時のデータです。

 

鎌倉 ひとり旅の宿

ホテルニューカマクラ

リーズナブルで駅チカのレトロなホテル。2階建ての本館と新館があり、鎌倉駅のホームから見える。擬洋風の本館は映画のロケにも使われるほど、レトロな風情がある。ゆったりとした和室も含め、全21室がひとり泊可。

■ひとり泊データ 通年可/1泊素泊まり本館6100円〜/本館トイレなし7平方㍍洋室など/横須賀線鎌倉駅西口から徒歩3分(鎌倉市御成町13-2)/TEL:0467-22-2230

※掲載時のデータです。

 

トーセイホテル ココネ鎌倉

西口の御成通り商店街に2021年オープンした、古都の風情にマッチした新しいホテル。全73室に美容家電やシモンズ製ベッドを備え、女性客に人気。朝食(1650円)は1階レストランで和定食か洋食が選べる。大浴場もある。

■ひとり泊データ 通年可/1泊素泊まり1万9000円〜/トイレ付き16平方㍍洋室など/横須賀線鎌倉駅西口から徒歩5分(鎌倉市御成町7-10-1)/TEL:0467-22-5541

※掲載時のデータです。


(出典:「旅行読売」2023年6月号)

(Web掲載:2023年5月25日)

☛鎌倉や神奈川県など関東・甲信エリアへの旅はこちら


Writer

田辺英彦 さん

東京都大田区出身、埼玉県在住。旅行ガイドブック編集・執筆、出版業界誌執筆などを経てフリーランスに。東北・八幡平の温泉群と、低山ハイク、壊れかけたもの・廃れたものが好き。

Related stories

関連記事

Related tours

この記事を見た人はこんなツアーを見ています