真田家の城下町・松代で歴史散歩~其ノ三~
長國寺に安置されている初代藩主・真田信之像
真田家の菩提寺へ参拝
城下町・松代には、真田家の菩提寺もある。長國寺だ。1547年、真田幸綱(幸隆)により松尾城内に建てられた。松尾城は真田本城の別名で、現在の上田市にあった。幸綱の孫にあたる信之が松代へ移って藩主になった際に、寺も一緒に移転。寺号も「長谷寺」から「長國寺」へ改め、今日に至る。500年近い歴史を誇り、現住職で四十四世を数える。
本堂は、大火の被害を経て1886年に再建されたもの。屋根の大棟には真田家の家紋「六文銭」があしらわれ、真田家との深いつながりを象徴している。松代城から移設されたといわれる高さ1メートルもあるしゃちほこが使われているのも印象深い。
荘厳な姿に蘇った御霊屋
本堂の裏手に、松代藩初代・真田信之の御霊屋がある。1872年の大火での焼失を免れ、1660年に建立された頃の姿を今に留める。とはいえ時の流れとともに劣化が進み、2020年から約2年半かけて保存修理。こけら葺きの屋根は葺き替えられ、壁や柱の漆や彩色は塗り替えられ、かざり金具も取り替えられ、建立当時の華やかな姿が蘇った。
御霊屋の内部も一般に特別拝観できる。内陣に広がる格天井は数々の鳥などが描かれ、幕府御用絵師であった狩野探幽の筆と伝えられている。奥には仏壇が広がり、信之と小松殿の位牌が安置されている。
真田家の墓所に手を合わせ
真田信之の御霊屋の南側には、四代・信弘の御霊屋が並ぶ。内陣の天井一面には八方にらみ龍が描かれ、どこから見上げても龍と目が合うから不思議である。現在、歴代藩主正室の位牌が安置されている。
御霊屋の裏手へ回り込むと、真田家墓所が広がる。初代・信之から十代にわたる真田家の墓所で、宝篋印塔21基、地蔵型墓碑2基、献灯12基が並んでいる。
大火で焼失する前は1万坪の敷地に大小の伽藍が30棟余あったといい、当時の様子を想像しながら散策してほしい。
期間限定の御城印も登場
信州松代観光協会では、旅の思い出に御城印を販売している。御城印は御朱印の城版のようなもので、城のイラストや六文銭の印とともに城名が大書されている。通常の「松代城」のほか、2024年1月31日まで限定の「海津城」や、松代藩真田家十四代当主・幸俊氏の筆による御城印「松代城」(2024年3月31日までの限定販売)もある。それぞれ1枚300円で、信之所用の陣羽織と鉄扇、それに六文銭旗をデザインした御城印帳2400円も売っている。
城下町で食べ歩きを
城下町・松代を散策する際に便利な「六文銭食べ歩きチケット」600円(2024年3月31日まで)もおすすめだ。六文銭がシールになっていて、宿や店舗など参加14軒で利用できる。例えば、角屋本店の「松代三山最中」は一文、お食事処うめたやの「しょうゆ豆」は二文、松代まち歩きセンターの「松代まち歩きオリジナルエコバッグ」は三文など。城下町散策が一層楽しくなることだろう。