奈良最古のしょうゆ蔵をホテルに
18代目継承、しょうゆの醸造文化伝えたい
1689年創業の奈良県最古のしょうゆ蔵元「マルト醤油醸造所」(同県田原本町)は1950年頃、食糧難で原材料の確保が難しくなり、やむなく看板を下ろした。それから約70年を経て、木村浩幸さん=写真=が18代目として家業の再興を目指す。
その木村さんが、「マルト醤油を復活させるだけでなく、蔵の一部を宿泊棟として改修し、宿泊業にも進出します。それが『NIPPONIA 田原本 マルト醤油』です」と語る。しょうゆしぼりなどの体験プログラムも設ける予定で、7月頃の開業を目指している。
大学を卒業後、大阪でアパレル会社に勤務。閉業した時の17代目の祖父の死去を機に地元に戻った。父をすでになくしていたこともあり、18代目を継ぐことを決意した。
「家の中のものを整理していたら、1000点以上の古文書が出てきたんです。それらをひも解くうちに、蔵元としての我が家の歴史を深く知ることになり、醸造を再興したいと思うようになりました」
古文書で伝統製法を学びながら、試験醸造を続けている。「NIPPONIAを日本のしょうゆ醸造文化、地域としょうゆの物語を知ることができるような宿泊施設にしたい」と言葉に力を込めた。
(旅行読売2020年6月号から)
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