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ひとり旅の極上宿 八ヶ岳グレイスホテル(長野・南牧村)

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 長野県
> 南牧村
ひとり旅の極上宿 八ヶ岳グレイスホテル(長野・南牧村)

高原の澄んだ空気と にじむようにまたたく満天の星

八ヶ岳グレイスホテルでは、毎晩星空鑑賞会を開催する(雨天時は室内プラネタリウムで行う)と聞き、星を見にやって来た。

ホテルのある南牧村野辺山高原は標高1375㍍、周りの山々に囲まれて市街地などの余計な光が入ってこない。1年を通してきれいな星空を見られるのだ。南牧村は、天文学者らが選ぶ、「日本三選星名所」に選ばれている。

この宿を選んだのには、もう一つ理由がある。全客室から八ヶ岳の絶景が見られると聞いたからだ。シングル料金に4000円追加すれば、ベランダ付きのスタンダードツインのシングルユースもできる。Go Toトラベルを活用して、ひとり広い部屋でくつろぐのもいい。

全客室が八ヶ岳ビュー。冬の雪景色も楽しい。ツインルームにはベランダもある

ベランダに出ると、青い空に山々の稜線がくっきりと浮かび上がっている。マスクを外し、思い切り高原の澄んだ空気を吸った。

「滞在中、屋外でも楽しんでいただこうと、コロナ禍の休館の間に外の環境づくりをしたんです」と、支配人さん。

ホテル正面の木にハシゴをかけて作ったツリーデッキもその一つ。人ひとりがやっと座れる小さなウッドデッキから八ヶ岳を眺めていると、まるで別世界にいる気分。約500㍍の遊歩道「名前のない散歩道」を歩けば、小さな森に迷い込んだようで楽しい。

ホテル正面のツリーデッキから、八ヶ岳を一望

食事は1階のレストランでとるが、ひとり客には窓際の眺めのいい席を用意するなど、心遣いがうれしい。夕食は和食会席。サラダや天ぷらなど野菜の多くは直営農園で栽培した高原野菜。新鮮な上にしっかりうまみがある。

星空鑑賞会は20時から約30分。ロビーに集合し、ホテル専用グラウンドまで5分ほど歩く。配られたマットにあお向けに寝転ぶと、星空案内人(星ソムリエ)の資格を持つ河本玲子さんの案内が始まった。夜空を指し示しながら、東西南北の見分け方、上空の星座などを解説していく。

「はくちょう座のデネブは光の速さで約1400年かけて地球に届きました。こうして地球から見えるのは、何百年、何千年かけて届いた星の光なんです」

なんだか、とてつもなく広大な宇宙の中にいるのを実感した。

星案内人の河本さん

月が沈んだ暗い空に輝く星

取材当日の月は満月に近く明るい上に、雲がかかっていて、数えるほどしか星は見えなかった。が、3時30分頃、月が沈み、雲が切れれば、満天の星が見えるかもしれない。そう聞いて、心が躍った。ホテルに戻り、大浴場で冷えた体を温め、早々にベッドに入った。

3時30分、アラームで目覚め、ベランダから外をのぞくと、星空が広がっているではないか……。急いで身じたくを整え、外に出た。空を見上げると、大きさも明るさもまちまちの星たちが、にじむように広がっている。あまりにたくさんで、なんの星座なのか判別できないほど。忘れられない一夜になった。

国立天文台野辺山宇宙電波観測所。屋外に見学コースもある

ホテルから徒歩30分の国立天文台 野辺山宇宙電波観測所には、世界最大級45㍍電波望遠鏡を始め、観測装置が点在。屋外の見学コースにはパネルが設置され、宇宙の謎を解き明かす電波観測のしくみなどを解説している。ホテルに行く前に立ち寄ってもいい。

ホテルは山梨県と長野県の境にあり、小海線清里駅行きの送迎バス(要予約)もある。清泉寮は清里駅から車で5分ほど。牧場やギフトショップ、ミュージアムなど多彩な施設が点在。パン工房も併設する清泉寮ジャージーハットのソフトクリームは、並んででも食べたい。

多種多様な植物が配されたナチュラルガーデンの中にカフェや雑貨店などがある萌木の村は、散策するだけでも楽しい。名物レストランROCK(ロック)の地下にある八ヶ岳ブルワリーの地ビールは、世界のコンクールでも多数の賞を受賞している。

■八ヶ岳グレイスホテル

TEL:0267-91-9515

通年/1泊2食1万3500円~(2人1室の場合は同1万1500円~)/トイレ付き20平方㍍シングル、30平方㍍ツインなど 小海線野辺山駅から送迎5分(要予約)または徒歩30分/中央道須玉ICから国道141号経由24㌔ /南牧村野辺山217-1

■施設データ

・国立天文台 野辺山宇宙電波観測所 8時30分~17時/年末年始休/TEL:0267-98-4300
・清泉寮 9時~17時/無休(営業日、営業時間ともに施設により異なる)/TEL:0551-48-2111
・萌木の村 10時~17時(営業日、営業時間ともに店舗により異なる)/無休/TEL:0551-48-3522

 

(旅行読売2020年12月号掲載)

 

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Writer

高崎真規子 さん

昭和の東京生まれ。80年代後半からフリーライターに。2015年「旅行読売」の編集部に参加。ひとり旅が好きで、旅先では必ずその街の繁華街をそぞろ歩き、風通しのいい店を物色。地の肴で地の酒を飲むのが至福のとき。本誌連載では、大宅賞作家橋本克彦が歌の舞台を訪ねる「あの歌この街」、100万部を超える人気シリーズ『本所おけら長屋』の著者が東京の街を歩く「畠山健二の東京回顧録」を担当。著書に『少女たちはなぜHを急ぐのか』『少女たちの性はなぜ空虚になったか』など。

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