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地元愛のイルミネーション

場所
地元愛のイルミネーション

沢入駅のイルミネーション

点灯を待ちながらのんびり観光

わたらせ渓谷鐵道(愛称、わ鐵)の「各駅イルミネーション」。今や渡良瀬渓谷を彩る冬の風物詩だ。約17万球を使った幻想的な光の作品を観賞しようと、浅草駅から東武特急で出発。日中は観光列車や温泉を楽しむことにした。

相老駅で、観光列車「トロッコわっしー号」に乗り換える。トロッコ車両は定員制の自由席で、トロッコ整理券が別途必要だ。大間々駅を出ると渡良瀬川に寄り添い、清らかな川の眺めを楽しめる。途中の神戸駅まで、川の見える右側席がおすすめだ。

神戸駅で途中下車。イルミネーションの点灯は17時からなので、急ぐ旅ではない。大正時代建造の駅舎を眺め、旧東武車両を利用した「レストラン清流」で名物の舞茸料理をランチに食べた。

レストラン清流で味わえる「トロッコ弁当」は名産の舞茸をふんだんに使う
レストラン清流で味わえる「トロッコ弁当」は名産の舞茸をふんだんに使う

駅併設の温泉でゆったり

終点は旧足尾銅山に近い間藤駅で、標高約660㍍のひっそりとした山あいにある。線路の車止めは雑草に埋もれ、終着駅らしい情緒満点の駅だ。この光景を見たくて、終点まで来た。

復路は通洞駅近くにある足尾銅山跡を見学してから、水沼駅へ移動。温泉施設のある駅で、渓谷を眺める露天風呂で一浴しよう。

かつての坑道を見学できる足尾銅山観光
かつての坑道を見学できる足尾銅山観光
水沼駅温泉センターの露天風呂
水沼駅温泉センターの露天風呂

沿線の人たちの温もり

17時になると、いよいよイルミネーションが点灯する。駅舎やホームを飾る光の装飾は、漆黒の山との対比で際立つ。同鐵道営業企画課の高橋良枝さんの話では、電飾を設置してくれるのは〝わ鐵〟を応援する沿線の人々。普段、駅の清掃もしているという。

「毎回心温まるイルミネーションで、年に数回ですが雪との競演は特に素晴らしいです」と高橋さん。その一つ一つの輝きに、沿線住民のローカル線に対する郷土愛が感じられる。

帰路、水沼駅から「イルミネーション号」に乗車。駅に近付くと車内灯を消して減速するので、車内から優雅に観賞できる。途中下車して、電飾のホームを過ぎる列車を写真に撮るのもいいだろう。

 

文/谷崎 竜

通洞駅のイルミネーション
通洞駅のイルミネーション

<問い合わせ>

レストラン清流 TEL:0277-97-3681

足尾銅山観光TEL:0288-93-3240

水沼駅温泉センター TEL:0277-96-2500

わたらせ渓谷鐵道 TEL:0277-73-2110

(出典「旅行読売」2022年1月号)

(ウェブ掲載2022年1月28日)


Writer

谷崎 竜 さん

旅行ライター。1969年、名古屋生まれ。千葉大学理学部を卒業後、バックパッカーで世界五大陸を放浪。帰国後、旅専門のフリーライター・カメラマンとして活動する。著書に「のんびり各駅停車」(講談社)、「青春18きっぷパーフェクトガイド」(イカロス出版)など多数。

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