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【文化財の宿】渋温泉 歴史の宿 金具屋(3)

場所
  • 国内
  • > 北陸・中部・信越
  • > 長野県
> 山ノ内町
【文化財の宿】渋温泉 歴史の宿 金具屋(3)

1950年完成の大浴場「浪漫風呂」。泉質はナトリウム・カルシウム―塩化物・硫酸塩泉

 

歴史ある源泉が満ちる「浪漫風呂」

【文化財の宿】渋温泉 歴史の宿 金具屋(2)より続く

金具屋は建築の宿であり、源泉の宿でもある。2か所の大浴場(男女入替制)と男女別露天風呂に加え、貸切風呂が五つ。貸切風呂は空いていれば無料で利用でき、館内で8か所の湯巡りが楽しめる。自家源泉は4本。渋温泉の共同源泉も含め、泉質の異なる湯がかけ流しで使用されている。

なかでも必ず入浴したいのが、大浴場「浪漫(ろまん)風呂」。ローマの噴水を模した湯船には、金具屋が湯宿となる際に湧いた、歴史ある源泉が満ちている。鉄分の多い濁り湯に身を浸せば、窓のステンドグラスから光が射して幻想的だ。

貸切風呂「斎月の湯」はタイル絵で富士が描かれている。西山さんたちの手作業の結晶だ
大浴場「鎌倉風呂」には渋温泉の共同源泉を使用。「浪漫風呂」と男女入替制

源泉ツアーで大地のエネルギーを体感

毎朝8時30分頃からは「金具屋源泉ツアー」(無料、所要1時間)も開催している。浪漫風呂で堪能した源泉「金具屋別荘」は、風呂裏手の地下から自噴。生まれたての源泉を見るには足元や頭上への注意が必要だが、温泉好きにはたまらない体験だろう。対岸の「金具屋第1ボーリング」では、西山さんがバルブを開くと源泉と水蒸気が勢いよく噴き出し、大地のエネルギーを体感した。

渋温泉では九つの外湯にも入りたい。宿泊者であれば、宿で鍵を受け取り入浴できる(6時~22時)。行き帰りの長野電鉄からは妙高山や黒姫山を望み、5月の車窓にはリンゴの花が咲く。長野市の善光寺では、7年に一度の御開帳が6月29日まで開催中だ。

文/内山沙希子 写真/齋藤雄輝

「金具屋第1ボーリング」の泉温は97.6度。標高が650㍍あるため、ほぼ沸点で湧き出す
地下3㍍の岩盤からしみ出す源泉「金具屋別荘」
「九湯めぐり(厄除巡浴外湯めぐり)」の祈願手ぬぐいにスタンプを押しつつ九湯に入り、渋高薬師へ参詣すれば満願成就!?

渋温泉 歴史の宿 金具屋

住所:長野県山ノ内町平穏2202

交通:長野電鉄湯田中駅からバス10分、渋温泉または渋和合橋下車徒歩2分。湯田中駅から送迎あり(15時12分~18時5分到着のみ。要連絡)/上信越道信州中野ICから13キロ

客室:バス・トイレ付き10 畳和室など(全29 室)

料金:1泊2食1万8850円~(※2人1室利用時。掲載時の料金。最新のデータはホームページなどでご確認ください)

TEL:0269-33-3131

(出典:「旅行読売」2022年6月号)

(WEB掲載:2022年10月18日)


Writer

内山沙希子 さん

京都生まれ。本や雑誌を作る仕事を求め、大学在学中に上京。その後、美術館やレストラン、温泉宿、花名所、紅葉名所等のガイドブックを中心に、雑誌や書籍の企画・編集に携わる。2017年頃から月刊「旅行読売」で原稿の執筆を開始。「旅行読売」での取材を通して、鉄道旅に目覚めるかどうかは未知数。

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