たびよみ

旅の魅力を発信する
メディアサイト
menu

【お得きっぷで夏旅へ】バースデイきっぷで四国一周

場所
> 松山市など
【お得きっぷで夏旅へ】バースデイきっぷで四国一周

「伊予灘ものがたり」の外装は、瀬戸内の伊予灘の夕景をイメージ

 

 

四つの人気観光列車で誕生月にお得に四国巡り

JR四国では、誕生月に特急などを3日間乗り放題になる「バースデイきっぷ」を発売している。普通車自由席用とグリーン車用があり、後者は2022年4月2日にリニューアルしたばかりの「伊予灘(いよなだ)ものがたり」をはじめ、グリーン車料金が必要な人気の観光列車にも追加料金なしで乗れるのが魅力(「伊予灘ものがたり」の3号車は別途乗車券などが必要)。同伴者も3人までなら誕生日に関係なく購入できるので、友人や家族と一緒にお得な旅を楽しめる。

この便利でお得なきっぷの「グリーン車用」を使って旅をすることを計画した。海沿いや渓谷などを走る四つの観光列車を乗り継いで、四国を巡る初夏の旅だ。

私は関西に住んでいるので、早朝に自宅を出発して山陽新幹線に乗り、岡山経由で松山に向かった。東京方面からなら、飛行機で松山空港まで飛ぶのが便利だろう。

道後温泉本館は2024年12月まで保存修理工事中だが、入浴は可能

「伊予灘ものがたり」で憧れの下灘駅へ

予讃線の松山―伊予大洲(いよおおず) ― 八幡浜(やわたはま)間を走るこの列車は、今回のリニューアルで、グリーン個室の3号車「陽華(はるか)の章」(定員8人)を加えて3両編成に。従来の1・2号車もシート幅が広がり、各席にUSBジャックが設置されるなど、より快適になった。

多くの駅員さんに見送られながら出発後、太陽や柑橘類をイメージした2号車「黄金(こがね)の章」でくつろいでいると、温かなスープがサーブされた。食事(4日前までの予約制)の始まりだ。13時31分松山発の場合、松山市内に店を構え、瀬戸内の幸を使ったフレンチが評判の「レストラン門田」のミニコースが味わえる。

スープに続いて特製のローストビーフなどが入った冷製松花堂弁当が運ばれてきた。料理を味わいながら、目の前に広がる穏やかな伊予灘を眺めたり、アナウンスで流れる風景や駅についての解説に聞き入ったりと、観光列車ならではのランチタイムに、なんとも優雅な気分になった。乗車して50分ほどで、青春18きっぷのポスターにもなった下灘(しもなだ)駅に到着。当日はあいにくの雨だったが、海と列車を背景に記念撮影をした。

明るくモダンな「伊予灘ものがたり」 の2号車「黄金の章」。リニューアルで海向きのペアシーシートも誕生した
いただいた「門田フレンチ~伊予灘ミニ コース~」5500円( 要予約、値段は取材当時)。メ ニューは2か月ごとに変更
夏らしい風景が撮影できる下灘駅。人気スポットで途中下車できたり、徐行してくれるのも観光列車の魅力

開放的なトロッコ列車「しまんトロッコ」にも乗車

列車は、伊予長浜駅からは内陸に入り、肱川(ひじかわ)沿いを走行。五郎駅でのタヌキの着ぐるみを着た駅長さんのほか、地元の人が家の前や農作業中に手を振ってくれる。なかには大漁旗や手製のバナーなどを振ってくれる人たちの姿もあった。車窓越しではあるが、地域の人たちのホスピタリティーに深く感動を覚え、約2時間20分の列車旅はあっという間だった。乗り換えの八幡浜駅で、後ろ髪を引かれながら、宿泊予定地の宇和島へと向かった。

爽快なオープンエアーの「しまんトロッコ」

2日目は貨車を改造した開放的な「しまんトロッコ」に乗り、のんびりとした列車旅を楽しむ。緑深い山々と四万十川の風景を眺めながら、窪川駅へ。伝統とポップアートが融合する岩本寺などに参拝してから、「志国(しこく)土佐 時代(トキ)の夜明けのものがたり」に乗車。 土佐湾の雄大な景色を眺めながら、坂本龍馬ら幕末の志士たちに思いをはせた。

3日目は高知駅から特急で北上。大歩危(おおぼけ)駅で途中下車をして道の駅などに立ち寄ってから、「四国まんなか千年ものがたり」に乗車した。この列車でも車窓越しに地元の人がたくさん手を振ってくれたのが心に残った。観光列車や食事、風景の素晴らしさだけでなく、地元の人々の温かさにも触れることのできた充実した2泊3日の旅であった。

写真/泉田道夫

シャボン玉の演出がノスタルジックな「四国まんなか千年ものがたり」(「ものがたり」系観光列車には、上り下りや発車時刻によって、「八幡浜編」などの呼び名が付き食事内容が異なる)

バースデイきっぷ

JR四国と土佐くろしお鉄道全線の特急列車と普通列車、ジェイアール四国バスの路線バス(高速バスを除く)に、連続する3日間乗り放題。出発日が誕生月の場合に利用可。発売は出発日の1か月前から当日まで。駅レンタカーも特別料金で利用できる。購入時と利用時に誕生月を示す公的証明書を提示。JR四国の駅のみどりの窓口、みどりの券売機プラス、ワープ支店、駅ワーププラザ、四国内の主な旅行会社で販売。発売は2023年3月31日まで、利用は2023年4月2日(3月31日出発)まで。普通車自由席用9680円、グリーン車用1万3240円(価格は掲載時)

TEL:0570-00-4592(JR四国電話案内センター、受付時間8時〜19時)

(出典:「旅行読売」2022年7月号)

(WEB掲載 2022年7月28日)


Writer

児島奈美 さん

神戸生まれ。学生時代にバイクで北海道、九州、信州を巡って旅に目覚め、約40か国渡航。1か月のキャンプ旅でも太って帰ってくる食いしん坊で、現在は、旅・グルメ・人物インタビューを中心に、ガイドブックや雑誌、Webなどの制作に携わる。「旅行読売」ではルポがメイン。鉄子や歴女の道も着々と歩む。

Related stories

関連記事

Related tours

この記事を見た人はこんなツアーを見ています