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【ロープウェイで夏絶景へ】身延山ロープウェイ(1)

場所
> 身延町
【ロープウェイで夏絶景へ】身延山ロープウェイ(1)

奥之院駅に到着する直前の「報恩号」と富士の頂が見える山並み

 

新型ゴンドラで行く聖地からの絶景

身延山といえば身延山久遠寺(くおんじ)で知られる。鎌倉時代に日蓮聖人(しょうにん)によって開かれた日蓮宗の総本山で、近年はパワースポットとしても人気がある。昨年、40年ぶりにロープウェイに新型ゴンドラを導入したという話題にも惹かれ、聖地からの眺望と心身の癒やしを求めて、身延山に向かった。

荘厳で巨大な三門を抜け、菩提梯(ぼだいてい)と呼ばれる287段の石段を上ると久遠寺の境内だ。本堂西側から遊歩道を進むと約3分でロープウェイの久遠寺駅に到着した。乗り場に向かう途中には、機械室をのぞける窓がある。大きな車輪と重りが上下する様子が見え、ロープウェイの仕組みの一端が垣間見られ興味深い。

鬱蒼(うっそう)とした山の斜面に4本の支柱が積み重なるように立ち、ゴンドラがゆっくり下りてくるのが見える。2021年2月23日に日蓮聖人降誕800年記念で導入された新型ゴンドラは、魔除けを意味する朱色を基調とした「知恩(ちおん)号」と神秘を意味する藍色を基調とした「報恩(ほうおん)号」の2機で、久遠寺第92世法主(ほっす)の命名という。20分間隔で運行するが、人数が多いと10分間隔で臨時運行する。

麓にある久遠寺駅
久遠寺駅に停車中の「知恩号」
乗車前に鋼車輪が動いている機械室を見られる

パノラマビューのゴンドラから富士山を眺める

知恩号に乗り込むと、ゴンドラは静かに上昇。久遠寺の境内が見渡せるようになり、すぐに遠くの山並みから身延町の市街、富士川が見えてくる。新型ゴンドラの特徴はパノラマビュー。ガラス窓の部分が大きくなったので、膝下まで外の景色が見え、迫力満点だ。

雄大な景色に目を奪われるが、ゴンドラ内も天井に墨龍(久遠寺本堂の天井画)が描かれ、液晶モニターでは身延山の歴史を映すなどの工夫が見られる。7分間はあっという間に過ぎ、奥之院駅に到着。身延山は標高1153メートルで、奥ノ院駅は山頂より少し下の1137メートルにある。久遠寺駅との高低差は763㍍で首都圏のロープウェイではナンバーワンだ。下に比べて気温は5度ほど低く、夏にぴったりだろう。

文/渡辺貴由 写真/青谷 慶

【ロープウェイで夏絶景へ】身延山ロープウェイ(2)へ続く

天井に墨龍が描かれた「知恩号」は定員41人でパノラマビューが魅力
富士山を眺める藍色の「知恩号」

身延山ロープウェイ

全長(傾斜長):1665㍍ 高低差:763㍍ 最大勾配:33度 

最高運転速度:秒速5㍍ 運行開始:1963年 所要時間:7分

交通:身延線身延駅から身延山行きバス12分、終点下車徒歩15分/中部横断道身延山ICから県道10、804号経由7㌔(せいしん駐車場1時間300円、以降30分ごと100円)※駐車場から斜行エレベーター利用で徒歩3分

料金:片道860円、往復1500円

営業:9時30分〜15時20分(下り最終16時。土・日曜、祝日は9時〜)/無休(※料金と営業時間は掲載時のものです。最新のデータは公式ホームページなどでご確認ください)

TEL:0556-62-1081

(出典:「旅行読売」2022年8月号)

(WEB掲載:2022年9月15日)


Writer

田辺英彦 さん

東京都大田区出身、埼玉県在住。旅行ガイドブック編集・執筆、出版業界誌執筆などを経てフリーランスに。東北・八幡平の温泉群と、低山ハイク、壊れかけたもの・廃れたものが好き。

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