【ロープウェイで夏絶景へ】身延山ロープウェイ(2)
奥之院駅から徒歩約5分の北側展望台は南アルプスの大パノラマが見渡せる
身延山頂上の4か所の展望台に立つ
奥之院駅を出るとすぐ左に東側展望台があり、テラスにテーブルとイスが配されている。天守山地(てんしゅさんち)の毛無山(けなしやま)から三石山(みいしやま)、思親山(ししんざん)などの山並みが眼前に広がる。山並みの奥にはぽっかりと富士山が山頂をのぞかせている。
身延山山頂にある北側展望台はより雄大だ。前景の早川渓谷や富士見山、その後方に南アルプスの3000㍍級の白峰三山や悪沢岳(わるさわだけ)、笊ヶ岳(ざるがたけ)、布引山など峰々の連なりがパノラマ写真のように一望できる。このほか、七面山(しちめんさん)の大崩(おおが)れを正面に見る七面山展望台と、蛇行する富士川の流れを見下ろせる南側展望台があり、それぞれに特徴的な景色が楽しめる。
奥之院思親閣(ししんかく)は、日蓮聖人が故郷の房州小湊の両親を追慕したお堂で、日蓮聖人お手植えの樹齢750年超の杉は、長寿のご利益のあるパワースポットだとか。
山頂の団子と宿坊のゆば料理
腹ごしらえは奥之院駅で。1階の土産店では、備長炭で焼く串切り団子が名物。ゆば、竹炭、ヨモギを練り込んだ3種があり、特製クルミみそだれがマッチしている。2階の山頂展望食堂「身延庵」では、絶景を眺めながら身延特産のゆばを使った料理が味わえる。
帰路は、もう1台の報恩号に乗車。こちらの天井は七面山敬慎院(けいしんいん)の天井模様になっている。ロープウェイを運行する身延登山鉄道の望月悠二郎さんは「風速15㍍以上の風で運行を見合わせますし、落雷や地震の情報には神経を使います」と安全を最重視する。毎日の点検とは別に年1回の総点検では、機器のボルトを1本1本チェックするという。
ロープウェイを降り、久遠寺を参詣したあとは宿へ向かう。この機会に宿坊に泊まろうと決めていた。身延山中興の祖、日朝(にっちょう)上人が室町時代に開いた覚林坊(かくりんぼう)は、夢窓国師(むそうこくし)作の庭園が美しく、身延町産の生ゆばを使ったゆば料理が評判で、料理コンテストの受賞歴も多数ある。グルメを味わい、早めに就寝。明朝は勤行(ごんぎょう)に参加して、いっそう心身を整えたい。
文/田辺英彦 写真/青谷 慶
全長(傾斜長):1665㍍ 高低差:763㍍ 最大勾配:33度
最高運転速度:秒速5㍍ 運行開始:1963年 所要時間:7分
交通:身延線身延駅から身延山行きバス12分、終点下車徒歩15分/中部横断道身延山ICから県道10、804号経由7㌔(せいしん駐車場1時間300円、以降30分ごと100円)※駐車場から斜行エレベーター利用で徒歩3分
料金:片道860円、往復1500円
営業:9時30分〜15時20分(下り最終16時。土・日曜、祝日は9時〜)/無休(※料金と営業時間は掲載時のものです。最新のデータは公式ホームページなどでご確認ください)
TEL:0556-62-1081
(出典:「旅行読売」2022年8月号)
(WEB掲載:2022年9月15日)