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脱炭素に取り組む山梨のワイン

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脱炭素に取り組む山梨のワイン

「脱炭素」とワインがどう結びつくのでしょうか。はじめに山梨県とワインの関係を紹介します。山梨県は日本ワイン発祥の地で、150年前からワインを醸造しています。全国トップの約90ものワイナリーがあり、日本ワインの生産量は全国約30%のシェアを誇ります。

「地理的表示」を意味するGIという言葉があります。その土地で生産され、一定の生産基準を満たすことで産地名を独占的に名乗ることができます。ワインにおいて「山梨」がGIに指定されたのは2013年で、全国に先駆けたものでした。


そんな日本を代表する「ワイン県」山梨で進められているのが脱酸素化への取り組みです。世界の土壌の表層の炭素量を年間0.4%(4パーミル)増加させることで、経済活動によって排出される二酸化炭素の増加量を実質的にゼロにしようとするもので、「4パーミル・イニシアチブ」と呼ばれます。

「4パーミル・イニシアチブ」は世界各国や国際機関が参画しており、2021年11月にイギリス・グラスゴーで開催されたCOP26(国連気候変動枠組条約締結国会議)では、世界の平均気温の上昇を1.5度未満に抑えることで合意しました。

山梨県は2021年から「4パーミル・イニシアチブ」に取り組む農業団体や農家を認証する制度を始めました。その方法の一つが果樹園での炭素の循環です。炭素が蓄積した枝を炭にして埋めることで、土壌に大量の炭素を貯め込みます。

ドメーヌ・ヒデのブドウ畑から望む富士山

 

その作業を実践しているワイナリーが富士山を望む南アルプス市にあるドメーヌ・ヒデ。約2ヘクタールの畑でブドウを栽培し、赤ワインだけを醸造するブティック(小規模)ワイナリーです。

剪定枝を燃やすと大きな炎が上がり、火が消えると炭が出来あがります。この炭はアルカリ性で、土に戻すことで畑が蘇るそうです。

ブドウの剪定枝を燃やして炭を作る

 

赤ワイン「神の畑」は化学農薬や肥料を使わないボタニカル(植物由来の)循環型農業で造られています。猟師を意味する鉄砲ぶちから名付けられた「ぶち」は、鹿などのジビエに合う濃厚な味わいが特徴です。

山梨ジビエと赤ワイン「ぶち」

 

また、山梨県は質の高い鹿肉を認定するジビエ認証制度を始めました。農林業に被害をもたらす鹿を、高タンパク低脂質のヘルシーな肉として提供しています。

赤ワインとジビエを味わうことが地球環境に貢献する。少し大げさな表現ですが、山梨県ではそれを体験できるのです。


ドメーヌ・ヒデ

※ブドウ栽培とワイン醸造に専念するため、ワイナリーではワインを販売していません。


(WEB掲載:2022年2月1日)


Writer

旅行読売出版社 メディアプロモーション部 さん

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