勝沼ぶどう郷駅【中央線】
ワインとフルーツの里の玄関口、春の花が囲む
笹子(ささご)トンネルを出た中央線は、甲斐大和(かいやまと)駅の先の長い2本のトンネルを抜けると一気に視界が開け、周囲の斜面に果樹園が広がる勝沼ぶどう郷駅に着く。
1980年に建て替えられた駅舎の出入り口正面にはステンドグラスがあり、乗客を迎える。駅前ではビオラなど初春の花が咲き、西洋風な外観と相まってメルヘンチックだ。改称される前の勝沼駅は1968年までスイッチバック駅だった。駅の脇には昔のプラットホームが残り、4月にはその周囲で甚六桜(じんろくざくら)と呼ばれる約600本の桜が咲き誇る。
駅正面の小高い丘の上に見える甲州市勝沼ぶどうの丘へ。タートヴァンと呼ばれる専用容器を買い、品質審査会に合格しそろえられた約200銘柄のワインの試飲を楽しむ。ワインの香りとぶどうの丘の春にしばし酔いしれた。
文・写真/越信行
中央線は1911年に全線開業。勝沼ぶどう郷駅は1913年に勝沼駅として開業、1993年に改称。勝沼ぶどう郷駅へは大月駅から25分
(出典「旅行読売」2018年3月号)
(ウェブ掲載 2021年3月20日)
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