宮口駅【天竜浜名湖鉄道】
丘陵地のローカル駅は、国の登録有形文化財
夏になると素朴な田舎の風景が恋しくなる。そんな夏の景色を見ようと掛川駅から天竜浜名湖鉄道(天浜線)に乗った。
旧国鉄二俣線を引き継いだ天浜線には国の登録有形文化財に登録された施設が36件ある。〝日本の原風景に出会う旅〟を謳うだけあって、ノスタルジックな気分に浸るには申し分ない。
転車台がある天竜二俣(てんりゅうふたまた)駅から四つ目の宮口駅もレトロ感満点だ。下り線ホームの木造の待合室が青々と茂った桜の木の下にひっそりとたたずみ、赤茶色の瓦(かわら)屋根の駅舎本屋が乗客を迎える。
周辺は果樹栽培が盛んな丘陵地帯で、その一角に静岡県立森林公園がある。小鳥のさえずりを聞きながら天然のアカマツ林で森林浴が楽しめ、心地いい。
人と自然が調和した〝田舎〟のローカル駅でのひと時がとてもぜいたくに思えた。
文・写真/越信行
天竜浜名湖鉄道前身の旧国鉄二俣線は1940年全線開業。宮口駅は同年開業。宮口駅へは掛川駅から1時間
(出典「旅行読売」2018年7月号)
(ウェブ掲載 2021年3月12日)
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