駅舎のある風景 神山駅【羽越線】
水田地帯で五頭連峰を眺める無人駅
新津(にいつ)駅を出た羽越線は一面に広がる水田地帯の中を、車窓に山並みを望みながら進んでいく。
信濃川や阿賀野川によって形成された越後平野には潟と呼ばれる低湿地が点在し、冬になるとたくさんの渡り鳥が飛来する。水原(すいばら)駅近くのラムサール条約登録湿地、瓢湖(ひょうこ)にはそうした冬鳥たちが集い、羽を休める。この瓢湖を訪ねたときに気になった夜明け前の神山(かみやま)駅へ向かった。
ホーム前に広がる田んぼから駅を望むと、二つの角(つの)を持ったユニークな形をした駅舎の背後に、雪をまとった五頭(ごず)連峰がそびえている。
暗い空が徐々に青白くなっていき、やがて日が差すと、それまで影に沈んでいた刈り取られた稲株が、一斉に黄金(こがね)色に輝き出した。それは駅名にふさわしい、神々しい光景に思えた。
文・写真/越 信行
羽越線は1912年、一部が開業。1955年開業の神山駅へは新津駅から普通列車で15分
※写真は2018年12月撮影
(出典:「旅行読売」2021年1月号)
(WEB掲載:2022年11月28日)