家康、三成ゆかりの寺で貴重な文化財に出合う
上徳寺の世継地蔵。2月に行われる「世継地蔵尊大祭」は見もの
京都ファンお待ちかねの「京の冬の旅」が今年も始まった。今回は大河ドラマで注目の徳川家康や、同時代を生きた戦国武将たちゆかりの寺院を始め、弘法大師や親鸞聖人の生誕記念に合わせ、各本山寺院の通常見学できない庭園、仏像、襖絵、建築などの文化財が特別公開される。
なかでも初公開となる臨済宗の大本山妙心寺の塔頭寺院・壽聖院、徳川家康が建立した上徳寺、醍醐寺の塔頭寺院のなかでも別格本山とされる理性院に注目したい。
壽聖院は石田三成が父・正継の菩提寺として建立。関ヶ原の戦いに敗れた後、寺は境内を縮少され、その後に再興された。特別公開では、三成の肖像画や正継像、さらに三成自筆の書状などの寺宝が展示される。現代の絵師・村林由貴さんが描いた大胆な構図の襖絵も見どころだ。ちなみに三成の長男・重家は助命され、この寺の三世住職となって104歳まで生きたという。
上徳寺は側室・阿茶局と泰栄院の菩提を弔うために、徳川家康が建立した。通称「京のよつぎさん」と呼ばれ、子授け、安産、息災のご利益で篤い信仰を集める。今回は地蔵堂の内部に入り、2㍍ある石仏を間近に拝むことができる。また本堂では、家康と二代将軍・秀忠、阿茶局の肖像画などの寺宝も特別展示する。
通常は山門近くの千体地蔵以外は拝観できない理性院。特別公開では本堂内部を見学することができる。本堂中央の厨子に祀られているのが太元帥明王像(非公開)で、右手には不動明王坐像(重文)、左手に鎌倉時代作の毘沙門天立像が立つ。客殿の上段の間にある「水墨山水図」の障壁画は、絵師・狩野探幽18歳頃の作とされる。
さらに宗祖親鸞聖人の誕生850年を迎えた東本願寺では、大寝殿と白書院が40年ぶりに公開されている。この機会に、なかなか見られない伽藍や寺宝を堪能してみたい。
京都浪漫・悠久の物語「冬の京都で非公開文化財をめぐる~東本願寺・壽聖院・上徳寺・理性院~」
2023年2月6日(月)よる8時~8時53分 BS11にて放送
ちょっと“深い”京都を知るなら「京都の特等席」
(WEB掲載:2023年2月2日)