預言者・アブラハムゆかりのシャンルウルファからハランへ ― トルコ紀行(3)
シャンルウルファのバルクル・ギョルと呼ばれる「聖なる魚の池」
アブラハムの生誕地・シャンルウルファへ
メソポタミア中〜南部よりも古い文明発祥の地・ギョベクリ・テペ遺跡へ-トルコ紀行(2)より続く
「父の家を出て、約束の地(カナン)へ向かえ!」
「旧約聖書」に記された一文である。こう神の啓示を受けてウルの街を出たアブラハム。彼が約束の地・カナンへと向かう途上に立ち寄ったのがハランだとも。ここに記した「ウル」とはシャンルウルファのことで、「カナン」とはいうまでもなく今のパレスチナ、「ハラン」はシリアとの国境にも近い現在も同名の街である。
大洪水によって多くの人が死に絶えたものの、方舟に乗ってアララット山へと辿り着いて命をつないだノアとその家族たち。その子孫にあたるアブラハムが生まれたとされるシャンルウルファが、今回の旅の目的地である。イスタンブールから飛行機を使えば所要1時間50分。空港から街まで、バスで約30分の道のりだ。
ここでの観光の中心は、いうまでもなくアブラハムゆかりの地巡りである。彼が本当に実在していたかどうか定かではないものの、およそ4000年前の人だったとの説は興味深い。その真偽はともあれ、彼が生まれたとされる洞窟が市の中心部にあるから、ぜひとも見学しておきたいのだ。入り口は、ウル・ジャーミィと呼ばれるモスクの中。薄暗いながらも、ガラス越しにその生誕の地とされる岩窟内部をのぞくことができた。
そのすぐ近くにある、バルクル・ギョルと呼ばれる聖なる魚の池も見逃せない。アブラハムがアッシリア王に信仰を説いたものの理解されず、かえって怪しまれた挙句、火の中に投げ込まれてしまったとか。ところが、突如その炎が水に変化して難を逃れたと言われるから不思議。その伝承の地が、ルズワニイェ・ジャーミィ裏手にある池である。そこで泳ぐ魚にえさをあげる人が、ひっきりなしにやってくるのだ。何でも、白い魚を見た者は天国に行けるのだとも。
また、旧市内には、レトロムードあふれるバザールもあり、今も伝統的な衣装をまとった人々が行き交っている。その情景は、オリエンタルムード満点。人々の暮らしぶりを垣間見るというのも、ここならではのお楽しみである。
とんがり帽子のような可愛い家並み(ハラン)
アブラハムが立ち寄ったというハランの家並みも必見だ。石の土台の上に、日干しレンガを積み上げてとんがり帽子のような形状にしているのが特徴的。その上から泥を塗って、強い日差しを避けるのだとか。真夏には50度を超えるというが、その暑さをしのぐための工夫である。かつては街全体で2000戸もあったというが、今は180戸ほどが残るだけ。そのうちの一集落が見学できるので、立ち寄っておきたい。
文/藤井勝彦、写真/藤井勝彦ほか
協力/トルコ共和国大使館 文化観光局、ターキッシュエアラインズ
<旅のインフォメーション>
■交通/成田からイスタンブールまでターキッシュエアラインズの直行便で約13時間45分、イスタンブールからシャンルウルファまで同航空の直行便で約1時間50分、シャンルウルファからハランへはバスで約50分
■時差/日本より6時間遅れ
■ビザ/観光目的の場合、90日以内の滞在であればビザは不要。ただし、入国時にパスポートの残存有効期限が150日以上残っていることが必要
■通貨/トルコリラ(₺)1トルコリラ=5.2円(2023年11月15日現在)
■気候/シャンルウルファの年間平均気温は夏季約30℃、冬季約10℃
■問い合わせ/トルコ共和国大使館・文化広報参事官室(トルコ政府観光局)TEL:03-3470-6380
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(Web掲載:2024年1月8日)