南国の風を感じながら、食材の宝庫・房総半島の新しい道の駅を巡る(2)【行きたい道の駅】
リニューアルで拡大された保田小附属ようちえんエリア。「みまもりひろば」を囲むように屋根付きの“わっか”があり、新店舗が並ぶ
人気の道の駅保田小学校に隣接して附属ようちえんがオープン
南国の風を感じながら、食材の宝庫・房総半島の新しい道の駅を巡る(1)【行きたい道の駅】から続く
リニューアルして魅力が倍増したのが、道の駅保田小学校だ。廃校になった町立保田小学校を再利用、あえて学校のたたずまいはそのまま残してリノベーションし、道の駅として2015年にオープン。ノスタルジックな施設が評判になり、一躍人気となった。さらに、23年に隣接する旧鋸南(きょなん)幼稚園を有効活用して敷地面積を2万3000平方メートルもの広さに拡大。来場者も増え、国内外から年間84万人が訪れる。
まずは元々あった保田小学校のエリアから見学することにした。1階には鋸南町の観光情報などを発信する「まちのコンシェルジュ」や地元の飲食店、2階に宿泊施設「学びの宿」(素泊まり4200円~)や、温浴施設「里の小湯(こゆ)」(500円、町民は300円)がある。
2階の宿泊棟では、教室を半分に区切って客室として整備。小学校の黒板や小さな机に思わず懐かしい気分でいっぱいになる。廊下の壁の所々にはランドセルや「ろうかはしずかに」といった標語をかけるなど、心憎い演出も施してある。「里山食堂」では「保田小給食」、「cafe金次郎」では「あげパン」や「ソフトめん」など、給食メニューを提供する店もある。
圧巻なのは、元は体育館だった広大な直売所「きょなん楽市」だ。鋸南町の200の農家から、毎朝採れたての野菜や花を入荷。ロングセラー「保田小ピーナッツクリームサンド」や千葉県の給食の定番「ピーみそ」などのオリジナル商品も人気だ。
続いて、小学校の西側にある保田小附属ようちえんエリアへ。四つの飲食店が新たに出店し、食も大いに充実、地元ならではの海や山の幸を存分に味わえるようになった。「なのはなぐみ かつ菜(さい)保田店」では、千葉県産の銘柄豚「いもぶた」を使ったミルフィーユかつなどを提供。
「海鮮丼と黄金アジフライ 保田食堂」は、金谷(かなや)港にある金谷食堂の姉妹店。黄金アジ、シイラ、コショウダイなど、近海の朝獲れの地魚を、刺し身やフライなどで食べられる。地の味を目当てに訪れる人も多いという。
個性際立つ道の駅が続々登場する房総半島
園舎のたたずまいをできるだけ残しながら、子どもたちが楽しめる施設も拡充。雨でも遊べるよう、遊戯室だった場所をサンドバッグやハンモックのある「プレイカフェ」とし、授乳やおむつ替えのできる「あかちゃんひろば」を併設。「ようちえんショップ」では、幼稚園バッグを模したラッピングのお菓子などかわいいオリジナル商品を販売する。
園庭だった所には遊具のある「みまもりひろば」を作り、屋根付きの歩道で囲んだ。360度どこからでも、子どもたちの姿を見ることができる。歩道の名前は〝わっか〟。みんなをつなぐ広場、わっかになればいいなという思いが込められているという。
ドッグランや車中泊ができるRVパークなども併設され、道の駅としての機能も拡大。大人も子どもも、観光の人も地域の人も、誰もが安心して集える風通しのよさ、温かさが、この道の駅の大きな魅力だろう。
毎朝8時45分から行うラジオ体操には、近所のお年寄りが集合するそうだ。今度は教室に泊まってラジオ体操に参加しようか。また行きたいと思えるような、個性ある道の駅が増えつつある。
文/高崎真規子 写真/齋藤雄輝
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豊富な産直品やグルメに加え、有料道路と一般道のどちらからでも利用できるため、休憩施設としても人気の「富楽里とみやま」が、2023年7月大規模なリニューアルを行った。1階の直売所を増築、その朝収穫された新鮮な野菜や魚、物産など、豊富な品目を販売する。2階のフードコートの座席数も約2倍に増えて200席となった。地元の牧場の直営店やおふくろの味を提供する総菜店に加え、和牛専門店やソフトフランスパンの店も参入した。
TEL:0470-57-2601
住所:南房総市二部2211
李業:9時~18時(土・日曜、祝日は8時30分~、店舗により異なる)/無休
交通:富津館山道路鋸南富山ICから1.5キロ
駐車場:【普通車】421台【大型車】18台
道の駅 保田小学校
TEL:0470-29-5530
住所:鋸南町保田724
営業:9時~17時(飲食店は店舗により異なる、みまもりひろばは24時間)/無休(店舗により異なる)
交通:富津館山道路鋸南保田ICからすぐ/内房線保田駅から徒歩15分
駐車場:【普通車】184台【大型車】5台
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年9月号)
(Web掲載:2024年10月31日)