【47都道府県 行きたい道の駅】能登半島地震から復興へ七尾、輪島、珠洲の道の駅を巡る(2)~ふらっと訪夢、すずなり~
輪島市にある白米(しろよね)千枚田。棚田の多くに亀裂が入るなどの地震被害が生じた。今年は一部の棚田に稲が植えられていた
廃線後の駅跡地にできた道の駅を訪ねる
【47都道府県 行きたい道の駅】能登半島地震から復興へ七尾、輪島、珠洲の道の駅を巡る(1)~能登食祭市場~から続く
七尾からのと里山海道を通り、奥能登の輪島へ。輪島は2001年にのと鉄道七尾線の穴水―輪島駅間が廃線になった後、輪島駅の跡地に誕生した道の駅で、「ふらっと訪夢(ほーむ)」の愛称を持つ。建物は地場産の集成材を利用し、内部の柱などは拭(ふ)き漆(うるし)仕上げ。切妻屋根と格子(こうし)に輪島らしさが漂う。ここも地震の影響で休業したが、3月25日に曜日と時間を限定して営業を始めた。4月23日からは時間を短縮して毎日営業している。
土産店「A STORE WAJIMA(アストアワジマ)」では、輪島塗をはじめ、能登の食卓に欠かせないいしる、海藻類、天然塩、能登の地酒やワイン、名物の塩せんべいなどを販売している。能登の里山里海を感じることができるアンテナショップだ。喫茶店やカレー店など飲食店も3軒入っており、のと鉄道の廃線後も市内外を結ぶバスターミナルとして機能している。地震からの復興が進めば、以前のように地元の人々が行き交う場所に戻っていくことだろう。
わじま観光案内センター
器の実カフェ
輪島を出て、さらに能登半島の先へ向かう。海沿いの国道249号は絶景を望める路線だが、日本海側は現在も一般車両の通行を制限している箇所があるので、注意が必要だ。
珠洲(すず)市の道の駅すずなりも、05年に廃止されたのと鉄道能登線の珠洲駅の跡地にできた道の駅だ。今も旧珠洲駅のホームや線路が保存され、館内には土産品販売コーナーや観光案内所がある。4月28日に営業時間を短縮して再開。6月からは営業日が増え、時間も長くなった。
天然塩の産地として知られる珠洲に来たら、塩を使ったスイーツを味わおう。汲く み上げた海水を塩田にまいて天日乾燥させる伝統的な揚げ浜式製法で作られた塩を使ったソフトクリーム「揚げ浜塩ソフト」(350円)がおすすめ。ほんのり塩味であっさりした甘みだ。珠洲の塩を使った塩どら焼き(200円)も、地元の菓子店が作っている。
肉厚な乾燥椎茸、日本酒や焼酎などの地酒、工芸品として名高い珠洲焼の器も人気がある。現在は飲食店は入っていないが、9月に飲食店と弁当販売店が入る仮設店舗が建物の横にオープンする予定という。
輪島や珠洲でも、「奥能登に人が戻ってほしい」「外からのお客さんが来られるようになったのを見ると、少し前に進んだ気がする」という声を聞いた。実際、最近は復興支援関係者やボランティアだけでなく、奥能登の様子が気になって訪れる人々を少しずつ見かけるようになったようだ。まだ観光客が宿泊できる宿は限られるので、今は金沢市や富山県内に泊まり、日帰りで訪れるのも一案かもしれない。
文/出口由紀 写真/宮川 透
輪島「3軒の飲食店が元気に営業石川」
TEL:0768-22-1503
住所:輪島市河井町20-1-131
営業:【わじま観光案内センター】10時~15時/無休【器の実カフェ】10時30分~15時/木曜、その他平日1日休【A STORE WAJIMA】9時~16時30分/無休(※営業日や時間は変更の可能性あり)
交通:能越道のと三井ICから9キロ
駐車場:【普通車】20台【大型車】4台
わじま観光案内センタースタッフ/冨島(とみしま)優衣さん
つるもは、輪島ではみそ汁に入れるのが定番です。酢の物もおいしいですよ。
すずなり「揚げ浜塩ソフトがおすすめ」
TEL:0768-82-4688
住所:珠洲市野々江町シの部15営業:10時~15時/月・金曜休(※営業日や時間は変更の可能性あり)
交通:能越道穴水ICから46キロ
駐車場:【普通車】43台【大型車】3台
※記載内容は掲載時のデータです。
(出典:「旅行読売」2024年9月号)
(Web掲載:2024年10月23日)