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「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」自然とアートの融合が楽しめる夜の長居植物園

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> 大阪市
「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」自然とアートの融合が楽しめる夜の長居植物園

チームラボ《ツバキ園の呼応する小宇宙 - 液化された光の色, Dusk to Dawn》©チームラボ

 

夜の長居植物園が幻想的なアート空間に

緑が少ないといわれる大阪で“都会のオアシス”として愛される長居公園。大阪メトロ御堂筋線の長居駅から徒歩約10分の都心にある。日没後の長居公園では、一角にある長居植物園で“夜の野外ミュージアム”が開かれるのをご存じだろうか。

手がけるのは、デジタルテクノロジーを使ったアート制作で人々を魅了する「チームラボ」である。チームラボと言えば、麻布台ヒルズのように屋内施設をイメージするが、ここでは季節とともに移り変わる広大な植物園が舞台。のどかな昼間の雰囲気から一転、夜になると、まるで異世界に迷い込んだかのような幻想的な空間が広がる。

チームラボはここで「Digitized Nature」というアートプロジェクトを行っている。これは、 デジタル技術を使うことによって、自然を保全しながら「自然が自然のままアートになる」というプロジェクトだ。

まずはラクウショウの並木道からサルスベリの広場、ツバキ園へと歩く。例えば、ツバキ園にたたずむOvoid(卵形体)は、日中は太陽光を反射して銀色に見えるが、辺りが暗くなると自ら光り輝きはじめる。人に押されたり、風に吹かれたりして倒れると、光が変わり音を響かせて自ら立ち上がる。

面白いのは、ネットワーク化された周辺の木々やOvoid(卵形体)も次々に反応し、同じ音色を響かせながら、連続して光っていくことだ。作品は鑑賞者と双方向的に関わる「インタラクティブ」であり、お互いに関係し合っていることに気づかされる。まるで宇宙空間にいるかのような、不思議な感覚。園内は広く足元は暗いため、歩きやすい靴をはいていこう。

チームラボ《浮遊する呼応するランプ - ワンストローク》

一面に咲き誇る秋の風物詩・昼と夜のコスモス畑

訪れたのは晩秋で、植物園のコスモスが見頃を迎えていた。ピンクや白、赤など色とりどりに咲き誇る。夜は闇のなかで違った顔を見せ、光を受けたコスモスは近くで立ち止まると、さらにつよく輝く。向こうにも人がいると、コスモスの輝きがこちらまで広がり光が連続していく。暗闇で五感が研ぎ澄まされているせいか、いつもより花の香りも強く感じられた。

チームラボ《生命は闇に浮かぶまたたく光 - コスモス》© チームラボ
昼のコスモス畑

世代を超えて親しまれる公園

樹木が大きく育ち、季節の花が咲く長居公園は、都会において貴重な存在だ。長居植物園は1974年に開園し、今年50周年を迎えた。約24ヘクタールの園内に約1200種類もの植物が生い茂る国内有数の植物園である。長居公園の歴史はさらに古く、始まりは昭和初期の28年に造園計画された臨海寺公園にさかのぼる。その後、競馬場や競輪場を経て運動公園として整備された。

2007年に世界陸上のメイン会場となった長居スタジアムは、ネーミングライツによって現在「ヤンマースタジアム長居」と呼ばれる。そのほか、セレッソ大阪のホームグランド「ヨドコウ桜スタジアム」などがある。公園内を歩くと、散歩する人やテラスで談笑する姿、家族連れやランニングする人とすれ違い、地域の人たちにとって憩いの場であることがわかる。

チームラボの赤刎隆志さんは「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」の特長やコンセプトをこう語る。「『チームラボ ボタニカルガーデン 大阪』は、健全な生態系を有する植物園を舞台にしていることが大きな特長です。野鳥が生息し、食物連鎖の頂点にいるオオタカやフクロウが目撃されることは、大都市の公園にあってかなり貴重なことだと思います。私たちは自然が自然のままアートになることをコンセプトに、人と自然が共に作品になるような空間をめざしています」

「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」の常設展がオープンしたのは2022年7月。まずは植物が生き生きと生育できる環境を整えることからと、開業の2年前から植物園と共同で土壌改良をおこない、樹木の間伐や根の成長を見越した植え替えなどを地道に準備してきた背景がある。

期間限定で、季節に応じて公開する作品として、開花状況によって変動するが、過去に春は《生命は闇に浮かぶまたたく光 - ネモフィラ》、夏は《生命は闇に浮かぶまたたく光 - ヒマワリ》などが公開されている。

開園50周年を迎えた長居公園

常設展《風の中の散逸する鳥の彫刻群》

時間を忘れて見入ったのが、池に浮かぶ島に立つ《風の中の散逸する鳥の彫刻群》。鳥が飛ぶことによって生まれるエネルギーの流れを、リアルタイムに描いた作品だ。

実際に近くを飛ぶ鳥に影響されるため、鳥の動きが見逃せない。この場所に鳥が飛び交うように池の周辺に虫が集まる木を選んで植えたそうだ。

残念ながら、冬場は鳥が飛ぶ姿をあまり見られないが、この作品を見ていてチームラボが掲げる「生命のような存在の輪郭」という意味がわかってきた。世界は境界がない、ボーダレス。連続することそのものが美しいと感じる、没入感。夜も魅力的な植物園を一度、散策してみてほしい。

文/仲底まゆみ

チームラボ《風の中の散逸する鳥の彫刻群》©チームラボ
「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」は“大阪の夜”を輝かせる光のプログラム「大阪・光の饗宴2024」に参画している。プログラムの会期は、11月3日~12月31日。大阪・光の響宴2024年(過去の開宴式の様子)

チームラボ ボタニカルガーデン 大阪

住所:長居植物園(大阪市東住吉区長居公園1-23)

開館時間(常設展):   

2024.12.1(日) - 1.31(金) 18:00 - 21:30

2025.2.1(土) - 2.17(月) 18:15 - 21:30

2025.2.18(火) - 3.9(日) 18:30 - 21:30

2025.3.10(月) - 3.31(月) 18:45 - 21:30

2025.4.1(火) - 4.20(日) 19:00 - 21:30

2025.4.21(月) - 5.6(火) 19:15 - 21:30

2025.5.7(水) - 6.1(日) 19:30 - 21:30

2025.6.2(月) - 7.31(木) 19:15 - 21:30

* 20:30 最終入場

* 開催時間はシーズンによって異なります。

休園日:不定期

※季節により変動あり(公式WEBサイトを要確認)

入場料:(公式WEBサイト)大人1800円~、(現地購入)大人2000円~

※変動価格制    

公式WEBサイト:https://www.teamlab.art/jp/e/botanicalgarden/

■大阪・光の饗宴2024

公式ホームページ:https://www.hikari-kyoen.com/ 

参考文献「チームラボ 無限の連続の中の存在」/金木犀舎


Writer

仲底まゆみ さん

大阪生まれ。古いものと新しいものが混在するまちや、路地裏を歩くのが好き。「こころで聴き、足で書く」をモットーに取材を通して、地域の魅力を引き出すことが目標。共著 『建築技師という生き方 東畑謙三との対話』(創元社)

 

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