桜を愛でながら、由緒ある社寺を歴史探訪

南禅寺の三門。上層階に上って、絶景を眺めてみたい
天下の大泥棒の名台詞を生んだ絶景
春爛漫、いよいよ桜のシーズン到来だ。京都市内に桜の名所は数多くあるが、歌舞伎の演目「楼門五三桐(さんもんごさんのきり)」の中で、天下の大泥棒・石川五右衛門が「絶景かな、絶景かな」と名台詞を吐いたのが南禅寺だ。これは江戸時代の歌舞伎作家の創作ではあるが、五右衛門にそう言わせるほど、楼門から見る桜の景色は、当時からさぞかし美しかったに違いない。
ちなみに現在の三門は1628年、大坂夏の陣に倒れた家臣を弔うために藤堂高虎が再建したもので、高さは約22メートル、別名「天下竜門」と呼ばれる豪壮なたたずまい。拝観料を払えば楼上に上がれるので、絶景を眺めてみたい。
南禅寺を出ると、銀閣寺まで約2キロの遊歩道が延びている。「哲学の道」と呼ばれる、こちらも京都を代表する桜の名所だ。琵琶湖から引かれた疏水の両脇には、ソメイヨシノやオオシマザクラの並木が続き、水面に桜が映り込んだ幻想的な景色が広がる。

南禅寺から哲学の道を少し北に向かうと、毎年4月に「桜花祭」を催す熊野若王子(にゃくおうじ)神社がある。1160年、当時の後白河上皇が熊野大権現を勧請して創建、平安時代に盛んになった熊野詣の京都の起点となった。裏山の「桜花苑」では、一人の元教師が世界平和を願い、戦後30年かけて品種改良したという「陽光桜」が濃いピンクの花を咲かせる。

哲学の道の西、真如堂の名で親しまれる真正(しんしょう)極楽寺は、紅葉の名所として知られるが、赤く色づく樹木の中に数多くの桜が含まれていることは意外に知られていない。境内にはソメイヨシノをはじめ、シダレザクラやヤエザクラが咲き誇る。本堂前の「たてかわ桜」は、春日局が父の菩提を弔って植えたもので、小さな白い花を咲かせる。

本尊は平安時代の高僧、慈覚(じかく)大師円仁(えんにん)作のもので、日本三如来の一つに数えられることもある。円仁が「すべての人々、特に女性をお救いください」と頼んだところ、三度うなずいたところから「うなずきの弥陀」とも呼ばれる。秘仏のため、11月15日のみ拝顔できる。
京都浪漫悠久の物語「春爛漫! 南禅寺界隈の桜の名所を巡る」
2025年4月14日(月) よる8時~8時53分 BS11にて放送
京都画報「京都・癒しの美グルメ ―心がととのう優しい時間―」 出演:常盤貴子 2025年4月9日(水)よる8時~8時53分
※内容は変更の場合あり
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(出典:「旅行読売」2025年5月号)
(Web掲載:2025年4月4日)