秋の房総で、紅葉の渓谷と城下町さんぽ② ~千葉県/養老渓谷&大多喜~
休館中も外観撮影はできる大多喜城分館。研修館9時~16時、無休、無料、☎0470・82・3007
御城印を土産に
都心から気軽に訪れやすく、成田空港を利用する旅行者にとっても周遊観光しやすい千葉県。これから秋が深まると紅葉旅も楽しみで、房総中央部にある養老渓谷は特に人気が高い。滝や渓谷さんぽを楽しみながら、気ままに紅葉観賞できる。
そんな養老渓谷の近くに、古い建物などが残る城下町・大多喜が広がっている。徳川四天王のひとり・本多忠勝10万石の城下町で、現在の大多喜城は県立中央博物館大多喜城分館として、1975年に本丸跡に建てられた。施設改修工事のため休館中だが、研修館で「大多喜城と城下町」の展示を見学できる。
200種以上の蒸留酒
城下町へ向かう前に、城から徒歩10分ほどにある「mitosaya薬草園蒸留所」へも立ち寄りたい。城近くのB&G海洋センターに隣接する野球場の裏手にある。2019年から酒造りを行い、フルーツブランデーやリキュールなど今では200種以上を製造・販売。毎月、新商品を発売している。原材料は園内で栽培する果樹や薬草などのほか、各地のパートナーが作る恵みを厳選。ハーブティーやジャムも作っている。瓶やラベルもかわいらしいので、プレゼントにもいい。
気ままに城下町さんぽ
大多喜の町散策を楽しみに城下町通りへ。国の重要文化財「渡邉家住宅」など古い建物が残っている。店舗や住宅の改築に際しては街なみ環境整備事業で城下町らしい景観維持が進められ、風情を感じる町並みが広がっている。
かつて質屋・金物屋を営んでいた釜屋は、「大多喜町商家保存資料館」として一般公開されている。明治初期に建てられた土蔵造りの建物だ。
地元の銘酒・銘菓を賞味
「小江戸とりっぷ館」も白壁土蔵の建物が印象的だ。館内では小林一茶の書や長火鉢、手鏡など歴史を物語る品を展示。茶屋を併設し、地元の銘酒や銘菓の魅力を、少しずつ味わえるセットメニューを提供している。気に入った味があれば、その品を扱う店を実際に訪ねてみたい。
大人気の大多喜スイーツ
小江戸とりっぷ館で提供する「お茶と甘味のセット」で味わえる最中は、徒歩5分ほどにある「津知家」の名物。1919年創業の菓子舗で、「上総大多喜城最中十万石」(1個220円)が人気だ。多い時は1日に4000個も作るそうだ。
ジビエ料理がおすすめ
土産探しなら、「道の駅たけゆらの里おおたき」も訪ねてみよう。朝獲れ野菜や加工品、スイーツなどのほか、イノシシや鹿など近隣で獲れたジビエも売っている。食堂ではジビエ料理が名物で、イノシシ肉のそぼろが載った大多喜猪担々麺(900円)や、イノシシ肉のメンチが載った忠勝カレー(サラダ付き1100円)などメニューは多い。
養老渓谷エリアは2023年に台風被害を受け、温泉街は復旧に1年以上を要した。いすみ鉄道は脱線事故により全線運休中で、2027年の秋、大原-大多喜駅間の区間復旧を目指している。その間も四季は巡り、多彩な魅力が旅行者を迎えてくれる。この秋、養老渓谷と城下町・大多喜を訪ね、すてきな出会いを楽しんでほしい。
【観光の問い合わせ】
大多喜町観光協会☎0470・80・1146
千葉県観光物産協会☎043・225・9170
(出典:旅行読売2025年12月号)
(Web掲載:2025年10月23日)
「秋の房総で、紅葉の渓谷と城下町さんぽ①」
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